学校で先生が教える部活はなくなるか 驚きの部活改革プラン
学校で部活指導、なぜ難しく?
背景には少子化などにより学校単位の部活の維持が難しくなっている現状がある。日本中学校体育連盟の調査によると、他校と合同で部活をやっている学校の数が2001年度には266校だったが、2016年度には830校にも及んでいる。生徒数減少によって、グループ競技などを中心に部活自体を設置できない状況が生まれている。 また、少子化に伴い配置される教員の数が減り、競技経験のある教員の確保が難しいといったこともある。日本体育協会が2014年に行った調査によると、運動部活動の顧問のうち,保健体育以外の教員で担当している部活動の競技経験がない者が中学校では約46%に上っている。そのため、学校では、外部指導者の導入が進んでいる。文部科学省によると、2015年度に運動部活動の外部指導者を活用した中学校の割合は約74%に達した。 文部科学省は教員の負担感を解消するため、今年の4月から、「部活動指導員」を学校教育法に基づく学校職員に位置付けた。これまでは外部指導者の身分が不明瞭だったが、学校職員に位置づけられたことにより、土日の大会への引率が可能になったり、顧問になったりすることが可能になる。 こういった流れもあり、教員ではなく地域の人材が部活動指導を担う機運が高まっている。
地域で部活を教える構想、現場の受け止めは
学校ではなく地域で部活動を担うことができるのだろうか。 杉並区内の中学校で、外部指導者としてソフトテニスを教えている浅川陽介さんは、都内でテニススクールなどを運営するプロの指導者だ。検討されている部活のあり方について、「外部指導者として、試合の引率など部活動のすべてを任せられると本業にも支障が出ますし、生活指導など専門外のところも出てきます。今は学校現場を支えたいとの思いでさせて頂いている。この部分が無ければ現状は厳しいです」と話す。 杉並区内の2つの中学校で指導しているが、指導内容は技術のみで、生活指導は顧問を務める、競技経験のない教員が担当する。普段から生徒に接している先生がいるからこそ、自分が見ていない生徒の特徴がわかって指導がやれる面もあるという。 また、「地域でスポーツを担うためには、地域の理解を始め、財源の確保ができれば地域の指導者を目指す指導者も増えてくるのではと感じている。国、学校、地域の連携がもっと必要になってくる」という。 浅川さんが指摘するように、地域で運営するスポーツクラブは財源に課題がある。 文部科学省は1995年度から地元住民が主体となって運営する「総合型地域スポーツクラブ」の事業を始め、補助金などを出して育成を進めてきた。2016年度には全市区町村の80.8%(1407市区町村)に3586のクラブがあるという。 ただ、自立的な運営に成功している事例は少なく、スポーツ庁の2015年度の調査では、総合型スポーツ地域スポーツクラブ(2678クラブが回答)の69.1%が「財源の確保」を課題にあげている。浅川さんのようなプロのコーチや、「国家資格」を取った指導者に、地域のスポーツクラブで活躍してもらうためには、補助金だけに頼らず、安定的に運営できる財源を確保しなければならないとみられる。