GENDA申真衣 共働きの私たちが大変な時を経て答え合わせした本
子どもができたことによって「爆発しそうな関係」となった夫婦の結婚生活の修復を目指し、分析してあらゆる手段を講じるプロセスを率直で痛快につづったジャンシー・ダンの『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(村井理子訳、太田出版)を読んで、夫に「この本を読まなければ離婚します」と強制的に読ませたことも(笑)。上の子が小さいときは特に、常に擦り合わせが必要でしょっちゅうぶつかり合っていましたから。 私自身が、キャリアを諦めそうになるときもありましたね。あまりに大変だから、私が1番手を降りたほうがいいのかな…と思うことも。夫とも「大変過ぎるね」という話になったとき、「真衣ちゃんは仕事が好きそうだから、僕が仕事を辞めようか?」と言われたこともありました。 義理の母もずっと仕事をしていた人だったので、女性が主に家のことをやるべきだと思っていない夫だったことは、幸いなことでした。でも、夫が「僕が仕事を辞めようか?」と言ってくれたときに、私は、「それは嫌かも」と思ってしまったんです。 1人で家計を担うのは正直荷が重い。世の男性は一人で家計を背負っている人もたくさんいるけれど、私はその覚悟がないのだと痛感しました。そうして話し合いを重ねていくうち、どちらかだけが稼いで家計を担うのは、2人にとってフェアじゃないんじゃないかという結論に至りました。 ●夫婦間で「数字」のゴールを決めた そして、「大変」にもゴールを設定して、「純資産がこのくらいたまったら、そこから先はお互いに好きなように働こう」という目標を立てたんです。 私は、長く働くことを自分の中で決めていますが、まずは「数字」でお互いの責任を決めることにした。そうすることで、どちらか片方がキャリアを諦めるという考えはなくなり、お互いを応援し合えるようになりました。 私たちは『デュアルキャリア・カップル』を「答え合わせ」に使いましたが、共働きで今まさに2人のキャリアの比重に悩んでいる人たちには、たくさんのヒントを授けてくれる本だと思います。 ●時には、心をほぐす本を 日々のモヤモヤを解きほぐすときには、ジェーン・スーさんの本をよく読みます。 どれも大好きですが、『おつかれ、今日の私。』(マガジンハウス)は、まさにお風呂に入りながら読みたい、癒やしの1冊。ジェーン・スーさんは本当に言葉の魔術師だと思います。 自分を好きになろうよとか、自己否定から脱却しようとか、日本の女性の特質的な部分をすごくよく分かってらっしゃって、優しく励ましてくれるだけじゃなく、「アンタ、そんなことしてちゃ駄目よ!」と背中を押してくれる感じもあって。 昼間は何かとバタバタしているので、本は寝る前に読むことが多いのですが、この本を開くと、ジェーン・スーさんの胸に抱かれているような気持ちになります。 取材・文/金澤英恵 構成/長野洋子(日経BOOKプラス編集部) 本写真/スタジオキャスパー