GENDA申真衣 共働きの私たちが大変な時を経て答え合わせした本
アミューズメント施設「GiGO」などを運営するエンタメ企業・GENDA(ジェンダ)の社長を務める申真衣さん。新卒で入った外資系証券会社を退職して起業。わずか5年で上場を果たし、成長し続ける会社を率いる一方で、女性誌のファッションモデルをしながら、共働きの2児の母として家事や子育てを夫と分担してキャリアを積んできた。そんな申さんが、さまざまな「危機」を乗り越えながらも、「共働き家族のあり方」を考えるうえで支えにしてきた本を紹介する。 【関連画像】申さんが大変な時期を乗り越えた後に読んで、目からうろこだった1冊 ●共働きカップルのキャリア「3つ」のケース INSEADの准教授を務めるジェニファー・ペトリリエリ氏の著書『デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』(篠田真貴子共著、高山真由美訳、英治出版)は、共働きカップルにとって、歩んできた道の答え合わせができる本だと思います。 実は、私も夫と大変なときがあって、それを乗り越えた後にたまたま出合った本で、答え合わせ的に読みました。 本書では、26歳から63歳まで、32カ国113組のカップルを調査。その結果、共働きカップルの働き方は、大きく3つの形態に分けることができるそうです。 1つめは、カップルのうち片方だけがキャリアを重視する、つまり1番手は1人しかいないケースです。子どもが生まれたり家族が増えたりしたとき、緊急事態に対応する人がカップルの中には必要ですが、このケースでは「1番手ではないほう」が担当すると決めています。 2つめは、カップルの2人ともが1番手としてキャリアを重視するケース。この場合、緊急時にどちらの時間を譲るかはあらかじめ決めていません。 そして3つめが、キャリアの比重をフェーズによって変えていくケースです。このカップルの場合は、1番手と2番手がフレキシブルに入れ替わります。 ●「2人とも1番手」のカップルほど大変だが幸福度が高い 3つのうちどのケースが一番幸せなのかを調査してみると、実は2つめの「2人ともが1番手で、どちらの時間を譲るかは決めていない」カップルが最も幸福度が高いことが分かったそうです。いやいや、ちょっと待ってと思いませんか? どう考えても一番擦り合わせが必要ですし、めちゃくちゃ大変そうですよね。実際、我が家も大変だったんです。 肝心なのは「2人とも1番手」ということではなく、「2人とも1番手のカップルがなぜ幸せのか」という点。そこをひもといていくと、他の2つのケースと比べて圧倒的に「コミュニケーション量」が多かったのだそう。このカップルは、擦り合わせしなければいけないことが多い分、必然的にコミュニケーションも増えるからです。 子どもが熱を出したとき、1つめのケースは「それは大変だね、後はよろしく」で終わりですし、3つめのケースもその時々で折り合いがついているので、もめることは少ないでしょう。 2つめのケースは2人とも1番手なので、ぶつかり合いも発生して大変です。でも、「コミュニケーションを重ねて乗り越える」経験を重ねていくことで、2人の関係性を誇りに思えるようになるのだそうです。 なるほどと思いながら読んでいたのですが、うちもそうだったかも? とふと思ったんです。 ●緊急対応は「会議の参加人数」で担当決め うちには子どもが2人いますが、子どもが熱を出したとき、私と夫両方にミーティングが入っていたとしたら、ミーティングの参加人数でどちらが対応するか決めていました。3人のミーティングならリスケしやすいけど、大人数のミーティングは難しいから、じゃあ今回はあなたお願いね、とか。 保育園と職場が近かった頃は、熱が出た子どもを私が迎えに行って、抱っこひもで子どもをぶら下げたままミーティングをして、その後、帰ってきた夫に子どもをバトンタッチしてまた仕事に行く。そんな綱渡りのような連携プレーで乗り切っていた時期もありました。 当然、衝突も多かったです。