大分県の宇佐神宮創建1300年、国宝の本殿や壮麗な勅使門がある上宮の改修ほぼ終了…「美しい姿を見て」
全国に4万社を超える八幡社の総本宮、宇佐神宮(大分県宇佐市)が今年、創建1300年を迎えた。国宝の本殿や壮麗な勅使門がある上宮は2023年からの改修工事をほぼ終え、昨年末に雨風を防ぐ素屋根が取り払われたばかり。清新な姿で記念の年を迎えている。(大石健一) 【写真】檜皮葺きの屋根の葺き替え工事が進む西大門の脇門
三つの御殿が連なる「八幡造」
「大きな節目の年に、美しい姿を見てもらいたい」。昨年12月下旬、改修した小山社寺工業所(福岡市)の19代目、小山真人社長(63)は切り口がそろった檜皮葺きの屋根に目をやり、そう力を込めた。
神社仏閣の補修で有名な同社は、10年前は本殿の改修も手がけた。今回は、2階建ての勅使門(県有形文化財)と回廊の檜皮を葺き替え、一部の朱を塗り直した。西大門も修復中だ。
「続日本紀」に登場する宇佐神宮は、長い歴史の中で良いものを取り入れてきた。
三つの御殿が連なる「八幡造」は古代から伝わる建築様式とされる。今の本殿は幕末に建築された。
解体して組み直す
西大門の屋根には、檜皮葺き屋根の端を銅板で保護し、腐食を防ぐ工夫も施されている。これは昭和初期に始まったものだという。
傷みが激しい西大門は、解体して組み直している。傷んだ部分を除いて新しい木材を継ぎ足すなどし、小山さんは「無事な部材はできるだけ残したい」と語る。
神宮の小野崇之宮司(69)は「誰でも気持ちよくお参りしてもらえる環境が大事。今の時代に合ったやり方が必ずある」と話す。
大分市出身の小野宮司は「歴史を左右するほど影響のあった宇佐神宮は、宇佐だけでなく、大分の誇り。改めて注目してもらえるとありがたい」と語った。
今年は「勅祭」呉橋の扉開く
和気清麻呂も通ったという勅使街道を神宮に向かうと、丸みのある唐破風の屋根と扉で飾られた豪華な橋に出合える。県有形文化財の呉橋だ。長さ25メートル、幅3.4メートル、高さ3.6メートル。原則として10年に1度、天皇の代理を迎える「勅祭」の時のみ、扉が開かれる。