ファッション界の椅子取りゲームが過熱。デザイナーに求められる素養とは
デザイナーの入れ替わりが進む中、有名な「アントワープの6人」(Antwerp Six)の一人、ドリス・ヴァン・ノッテンが自身のブランドから辞任することを発表した。彼は40年近くかけて地元アントワープで自身の名を冠したレーベルを成長させ、自分の好きなペースで行う特異なやり方を確立した後、意図的なタイミングで潔く去ることになる。ドリス・ヴァン・ノッテンはファッションの頂点から“降りた”後にも人生は続いていると考え、「これまで時間が取れなかったすべてのこと」に焦点を移そうとしている。
自身のお気に入りの庭園と同様に、彼は今、自分のブランドが手入れされ、新しい才能によって成長することを望んでいる。 インスタグラムに投稿した手紙の中でヴァン・ノッテンは次のように語った 「私はこの瞬間に向けてしばらく準備をしてきました。新世代の才能がブランドに自分たちのビジョンをもたらすべく、彼らに余地を残す時期が来たと感じています」
この空席を引き継ぐのはエキサイティングだが、同時に困難であり、新たに就くデザイナーは非常に大きなレガシーを背負うことになるだろう。彼の後継者に創造的な自由が与えられることを祈っている。 そんなわけで、私たちの「今後どうなるのか」という推理ゲームは続いている。私のファッション仲間のWhatsAppグループでは毎日うわさが飛び交っており、人々は好奇心と同時に不安を感じている。デザイナーたちの椅子取りゲームは止まらないだろう。しかし、生活費危機の中で高級ファッションが必要かどうか世界が疑問を抱いている今こそ、創造的な敏しょう性が再び優位に立つ時期かもしれない。
変化は革新的である必要はない。パリでの「クロエ」のデビューショーでシェミナ・カマリが提案したBOHOスタイルの復活を見てほしい。薄手のシフォンブラウス、腕に掛けられたリングバッグ、そしてさりげない態度。私たちはクロエ・ガールの復活を心から歓迎する。お辞儀をするカマリの腕の中に飛び込んできた彼女の幼い息子の姿はさらに心打たれるものだった。彼女は働く母親がファッション業界のクリエイティブ デザイナー競争でどのように成功できるかを証明したのだ。