“中華圏映画アカデミー賞”2冠の話題作『石門』、来年2.28日本公開
2023年11月に行われた第60回台北金馬獎で日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞し、最優秀編集賞との2冠に輝いた映画『石門(せきもん)』(2022)が、2025年2月28日より全国順次公開されることが決定。併せてポスタービジュアルが解禁された。 【動画】中国俳優ウー・レイ主演、グー・シャオガン監督作『西湖畔に生きる』予告編到着 第36回東京国際映画祭コンペティション部門出品作 本作は、金馬獎をはじめ、ベネチア国際映画祭「ベニス・デイズ部門」、トロント国際映画祭、ニューヨーク映画祭、BFIロンドン国際映画祭など世界の映画祭で上映されてきた。 監督は中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた。封建的な湖南省の農村で出稼ぎをする両親と離れて抑圧された生活を送る14歳の少女を描き、ロッテルダム映画祭タイガー・アワードを受賞した『卵と石』、学校で没収されたスマホを売ったことで見知らぬ男たちと知り合うことになる16歳の少女を追った『フーリッシュ・バード』では、ベルリン国際映画祭ジェネレーション14+スペシャルメンション賞を授与された。 最新作『石門』は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリン(ヤオ・ホングイ)を主人公に、女性の前にあるさまざまな壁を静かに見つめる作品だ。ホアン・ジー監督が、『石門』とは「女性を取り巻く環境に存在する、打ち破りたくてもなかなか突破して先に進めない壁」だと語る通り、重々しい“石”の“門”を開く一条の光を求める映画だ。 全編を固定位置から狙った撮影は本作の特徴の一つ。撮影を担当した大塚は「人物だけを切り取るのではなく、社会の中に彼女が立っているという構図でこの物語を伝えたかった」と語っている。また、妊娠期間と同じ10ヵ月をかけて撮影することで、主人公が10ヵ月という期間の中で変化していく様が映し出されている。 『卵と石』『フーリッシュ・バード』に続き、ヤオ・ホングイが主人公リンを演じている。両監督は、女性の“性”に関する問題を、彼女の成長に合わせて別のストーリーとして描いている。 ホアン・ジー監督は「共同監督である大塚竜治は、私のパートナーであり、夫でもあります。ある日、彼が言いました。『10ヵ月間撮影しよう』それは、妊娠から子供が生まれるまでの時間であり、この映画が生まれる時間でもあります。この映画が石の扉を開けて、日本の皆さんに届くことを嬉しく思います」とコメント。 大塚竜治監督は「10ヵ月の撮影を終える直前にコロナが発生し、撮影は中断を余儀なくされました。その時、私たちは主人公のリンと同じように現実の中で迷い込み、出口を見失ってしまいました。しかし、最終的にその経験がリンの抱える痛みに寄り添い、彼女と共に重い扉を開くきっかけとなり、映画に新たな光を灯すことができました。ぜひ、映画をご覧ください」としている。 日本版ポスターは、大きな石の扉の前に立つヒロインの後ろ姿を捉えている。扉を押している彼女を縦のシンメトリーで写した構図は、女性を取り巻く厚い壁が象徴的に表現されたビジュアルとなっている。 映画『石門』は、2025年2月28日より全国順次公開。