“地球最後のフロンティア” 密着 南極観測支える日本企業【WBS】
日本は研究、観測のため、「南極地域観測隊」を派遣していますが、観測隊には研究者のほか、活動をサポートするため民間企業の技術者なども「隊員」として加わっています。南極での活動を支える日本企業の技術を、テレビ東京の取材班が追いました。 日本からおよそ1万4000キロ。世界屈指の砕氷船「しらせ」で氷を割りながら進むのは、日本の南極地域観測隊です。南極で今起きている氷と海の環境変化を探るのがミッションです。 「ペンギンが行っている場所の海の中の様子を調べる。(ペンギンを使って)海の温度を測ったり」(南極地域観測隊員) 温暖化をはじめとする環境問題と向き合うため、生物学や地学など、幅広い分野の研究者が隊員として参加しています。 日本が南極観測に本格的に乗り出したのは1957年。第1次南極地域観測隊が昭和基地を開設し、およそ70年にわたり研究観測を続けています。
観測隊には建設や通信など企業の技術者も参加。基地のインフラ整備や維持などをサポートしています。ヘリコプターの格納庫は、秋田の企業「東光鉄工」の技術によるもの。アーチ状の鋼材で高い技術を持ち、曲げの東光として業界で知られています。 「曲線を描く中でブリザードをかわす構造はすごく役立っている」(「第65次南極地域観測隊」東光鉄工の髙阪匡史さん) そして今回のミッションの一つが、夏の隊員が宿泊する「夏期隊員宿舎」の建設です。完成すると昭和基地で最大の建物となります。技術協力しているのはミサワホームです。およそ50年にわたり南極で建物を受注してきました。 そのミサワホームが今回新たに組み立てたのが、移動式の基地ユニットです。 「(観測地点)S17とドームふじを移動する間の隊員の食事兼作業スペースとして用いられる建物」(「第65次南極地域観測隊」ミサワホーム九州の松本巧也さん) 昭和基地からおよそ1000キロ、標高3810mに位置する「ドームふじ基地」の新たな拠点として使われます。生活や観測の拠点として利用しながら移動することが可能な、いわばトレーラーハウスです。 ユニットはわずか15のパーツで構成されていて、熟練技術を持っていない隊員でも1日で組み立てることができるといいます。それでいて、南極ならではの特徴があります。木質パネルにより、室内の温度を保ちやすい断熱構造になっています。 「このパネルは厚さが12センチ。中に断熱材が入っている。外壁が仕上がった状態で納品をしている」(松本さん)