メガバス伝説の1999モデル復活!ウエイトバランスをアップデートした『バイブレーションXウルトラ/スマトラ』の開発秘話【伊東由樹が熱弁!】
時代に翻弄されるルアーたち
環境負荷を考慮したレギュレーションをクリアするため、ウエイト素材の変更を余儀なくされた99年モデルだが、2024年モデルは問題ないのだろうか? 「当然、そういった基準はクリアしています。むしろ昔よりも厳しくなっている基準にも適合させていますよ」 時代に翻弄され、その内容を変えてきたバイブレーションXだが、タックルの進化にも影響を受けている。 「2000年モデルが受け入れてもらえた要因の一つとして、リールのギア比が関わっていると思っています。当時のリールであれば、ハイギアモデルでも6 ・3ぐらいが一般的でした。そのリールによる巻きスピードに、当時のウルトラでも十分合致していたのでしょう。ところが、近年のリールはその頃よりも遥かにギア比があがっています」 昨今のリールでハイギアといえば7 ・1は当たり前。ひと巻きで1メートル近く巻き取るリールすら存在する。 「かつてのギア比のリールで気持ちよく使えていたルアーは、現代リールのスピード感に合わないことは多いんです。水流を受けすぎて、例えば泳ぎが破綻してしまう。その点、新しくなったバイブレーションXウルトラとスマトラは、現代リールのスピードでも安定して泳ぎ切ってくれます。加えて泳ぎ出しも抜群ですから、ストップ&ゴーや、ウィードカットなどレスポンシビリティを高めており、バイトチャンスを拡大しています」
メガバスの『普遍性』
ルアーの持つ、普遍的な魅力。 そこにたどり着くことができたのならバスという魚がこの世界に存在し続ける限り、そのルアーの釣獲力が衰えることは決してないだろう。しかしその普遍性は、決して永続的なものでもない。なぜならルアーを扱うタックルが、使い手であるアングラーが、進化を続けるからだ。 なればこそ、メガバスもまた進化の歩みを止めることはないだろう。 バイブレーションXのスペックに不満を感じていた人は決して多くはないはずだ。 それでも2024年、アップグレードを果たしたのだ。 それは時代が変わってもなお、変わらぬ釣果を出し続けたいという、メガバスの思いに他ならない。 そしてその姿勢こそが、37年を経過して今なお第一線を走り続けるメガバスの「普遍性」なのかもしれない。
伊東由樹
いとう・ゆき/釣り業界にいくども衝撃と影響を与えてきた総合フィッシングメーカー・メガバスのCEO。経営者、デザイナー、プロ釣り師などいくつもの顔を持つ。