肉眼でも見える「紫金山・アトラス彗星」が12日に地球に最接近! 8万年に一度の機会
観測のヒント
住んでいる場所と周囲の光害(ひかりがい)の程度にもよるが、この彗星を見るために、都会の喧噪と光を離れた暗い場所に行く価値は十分にある。どこに行けばいいかわからないなら、インターネットで「光害マップ」を検索してみよう。いい手がかりが得られるはずだ。 絶対に必要なわけではないが、ギブ氏によると、双眼鏡や小型の望遠鏡で空を見るのもおすすめだ。特に、角度にして15度に及ぶ長さの尾まで観測したい場合は、そうするといいだろう。10月末ごろには、肉眼では見えないほど暗くなる。 この彗星の到来は、科学にとっても大きなチャンスとなる。現在の彗星の研究でとりわけ高いハードルとなっているのは、こういった天体の観測に理想的な天文台や科学機器の多くが、彗星の通過する場所にないことだ。 「こんなに美しい彗星が通過していくのに、空のどこに見えるかによって、必ずしもすべてを観測して研究できるとは限らないのです」とギブ氏は言う。 この彗星がやってくることは広く知られていたこともあり、今回の接近を機に、新たな観測を始めている研究者もいる。 紫金山・アトラス彗星は、地球を離れたあと、太陽系外縁部に戻っていくと考えられている。 私たちが生きてその姿を見ることは、二度と無いだろう。8万年後にこの彗星がまた戻ってくるとき、私たちの子孫がまだここにいて、再び挨拶ができることを願うばかりだ。
文=Tatyana Woodall/訳=鈴木和博