【高校サッカー】尚志が福島県大会4連覇…先輩が届かなかった日本一へ…合言葉は「全国でリベンジ」
◆第103回全国高校サッカー選手権福島県大会決勝 尚志1―0学法石川(16日・仙台大サッカーフィールド郡山) 決勝が行われ、尚志が学法石川を1―0で下し、4年連続15度目の全国選手権(12月28日開幕、国立など)出場を決めた。後半14分にMF大内完介(3年)が左足ボレーで決めた1点を守り切った。昨年度の大黒柱でJ1京都に進んだMF安斎悠人から背番号7を受け継いだ男が、先輩も成し遂げられなかった日本一を目指す。 試合を支配しながらゴールが割れない嫌な流れを、大内の一発が断ち切った。後半14分、左ウィングバックのDF板垣大翔(3年)が頭で折り返したボールに走り込み、左足を振り抜いた。「ファーに来ると思っていました。予測していたから冷静に流し込めた」。ネットが揺れる前に両手を広げて確信した。控え部員や応援団がいるバックスタンドに駆け寄り、全員で喜びを分かち合った。 安斎から受け継いだ背番号7は「チームを助けられるような存在が着ける特別な番号」だと思っている。高卒でJ1入りを果たした先輩は、2~3人がかりで守らないと止められないドリブラーだった。「こういう人がプロに行くんだな」と憧れを抱き続けた。 6月の高校総体予選は決勝で帝京安積にPK戦のすえ敗れ、県連覇が13で止まった。開催県で出場枠が2つあるため本大会には出場できたが、ショックは大きかった。そんな時、安斎から電話がかかってきた。心に残ったのは「ピッチに立ったら、自分が一番うまいと思わないといけないよ」という言葉。強い気持ちを取り戻し、9月1日の高円宮杯U―18プレミアリーグEAST・流通経大柏戦ではハットトリックを決めた。 今年のチームには21年度のDFチェイス・アンリ(ドイツ1部シュツットガルト)や22~23年度の安斎など、突き抜けた個はいない。だからこそ全員で走り、つなぐことにこだわった。決勝弾の起点は右ウィングバックのDF荒川竜之介(3年)のクロスから。大内は「両サイドが上がることが体現できたゴールです」と胸を張った。 最近10年で9度の優勝を誇る絶対王者が、苦しみ抜いてつかんだ選手権切符。仲村浩二監督は「きょうは勝ちにこだわったけど、全国ではもっとアグレッシブなサッカーがしたい」と誓った。今年の合言葉は「全国でリベンジしよう」。偉大な先輩が届かなかった日本一へ、一戦必勝で挑む。(岩崎 敦) 〇…主将のFW千住澪央(3年)は9月1日の流通経大柏戦で右第5中足骨を骨折し、決勝はベンチ外。試合前にキャプテンマークを着けてもらった荒川副主将は「必ず千住を全国に連れて行くんだという思いでプレーしました」と振り返った。千住は試合後、ジャージー姿で優勝トロフィーを掲げて満面の笑み。仲村監督によると選手権には間に合う予定で、攻撃陣のレギュラー争いが激化しそうだ。
報知新聞社