東日本大震災から3年、ダライ・ラマ法王14世が東北で語りかけたこと
そこで、そのような大変な目に、非常に困難な状況に遭われたというような体験をされてこられた方々も、決して落胆をし、そして心配ばかりをしているというような状態ではいけないわけなんです。そこで私自身は、この世界中さまざまな国を訪問させていただいているわけなんですけれども、そこで私はいつもそういった全ての国の方々にお話ししていることがあります。それは何かと言いますと、ドイツの方々、そして日本の方々、この2つの国家の方々は第2次世界大戦におきまして本当にひどい苦しみと、破壊というものを体験され、そして味わってこられた国の方々であったわけです。しかしながら、戦後になりますと、この2つの国の方々はまったくの焼け野原の灰の中から新たに素晴らしい近代国家と再建されたという実績を残しておられるわけなんです。 ですから、この地に、このドイツと日本の国では経済的にも、民主主義を取り入れているという面に起きましても、そして政治的な面でも大変強い安定した近代国家を再建されました。これは本当に素晴らしいことだと思います。そして、これらの本当に偉大な業績を残されたということは、この2つの国々の国民の方々が、個人個人が自信を持って、そして本当に計り知れない苦しみを味わわれ、破壊の中から新たなそういったことを成し遂げることができたというのも、自信と、そして強い決意の力、楽観的に物事を捉えて前向きに生きていくという態度、このような態度を持っておられたからにほかなりません。 そこで、そのような生き方をしていくならば、たとえどのように本当に悲しむべき悲劇を体験されたとしても、社会の共同体のレベルにおいても、そして家族的なレベルにおいても、個人個人のレベルにおいてもそのような大切なものを失われるという悲劇を必ず乗り越えていくことができるということを実証されておられるのではないかと私は思うわけです。ですから本当に非常に困難な状況に直面したとしても、そしてどのような悲劇に直面したとしても、皆さま方がもし強い決意の力と、そして勇気と自信を持って前向きに人生を歩んでいってくださるならば、亡くなった人々、そして家をなくされた人々、家族や友人をなくされた人々、そのような方々であっても、必ずや今からの人生というものを建設的に生きていかれることができると私は思うわけです。