指揮官の挑戦と決意。ブラジル代表コパ・アメリカ招集メンバー発表
文 藤原清美 5月10日、ブラジル代表の招集メンバー発表会見が行われた。今回は、6月前半のFIFA国際マッチデーにアメリカで行われる親善試合メキシコ戦とアメリカ戦、さらに、6月20日から7月14日にかけてアメリカで開催されるコパ・アメリカのためのチームだ。コパ・アメリカはドリバウ・ジュニオール監督就任後の初めての公式大会となる。
メンバー決定の大前提について解説
そのドリバウは、昨年10月、11月のFIFAワールドカップ南米予選でブラジル代表が史上初の3連敗を喫した直後に就任し、今年3月の新体制スタート時、親善試合でイングランドに1-0で勝利し、スペインには3-3で引き分けている。 クラブ監督としての勝者の経歴はもちろん、その代表監督としての船出の結果もあり、現時点、ブラジルメディアやサポーターからは一定の信頼と期待感が寄せられている。そのため、彼の選んだ23人にも、強い批判や反発のような雰囲気は感じられない。 会見では、この招集メンバー決定における大前提について質問が出た。各ポジションにフル代表経験の少ない若手が含まれていることから、今大会の結果はもちろん大事だが、2026年W杯を睨んだ世代交代も考慮したメンバーなのか。また23人中20人がヨーロッパ組で、国内組が3人のみなのは、大会期間中、ブラジル全国選手権が中断されないため、クラブへの配慮が働いたのか、など。ドリバウの答えは明解だった。 「純粋に技術的な選考だ。我われはすべての選手を評価しようとしている。年齢や所属クラブも、選手個々の現状以外の何の状況も関係ない。選手の評価には様々なプロセスがあり、今回のリストに入っていないことが、その選手の今後に影響するわけでもない」
カゼミーロ不在についても説明
注目されたのは、カゼミーロの不在だ。2011年の初招集から長年代表の常連であり、特に2016年のチッチ監督就任以降は、ボランチとしても、リーダーとしても、不可欠な存在としてプレーしてきた。ただ、マンチェスター・ユナイテッドで好調とは言えない最近の状況から、今後の代表における彼の立ち位置について質問が出た。ドリバウは説明した。 「3カ月前、マンチェスターを訪問してカゼミーロと話し、彼や彼のチームの状況、そして私が必要としていることについて、自分の考えを説明した。現時点で招集されていないからと言って、彼が代表を外された、または今後も外される、という意味ではない」 「彼は、私が彼についてどう思っているかをよく知っている。また、明日には彼に連絡し、今後の可能性について説明するつもりだ。彼は配慮、愛情、尊敬に値する選手であり、我われはこのレベルの選手のことを信じているからね」 その他「重傷から復帰したエデル・ミリトン(レアル・マドリー)」「3月の親善試合で2試合ともゴールを決めた17歳のエンドリッキ(パルメイラス)」「ケガからの復帰が待たれるネイマール(アル・ヒラル)の不在において、ビニシウス・ジュニオール(Rマドリー)は主役となり得るか」「リシャルリソン(トッテナム)が外れた理由(※ふくらはぎの負傷)」「唯一の初招集となったエバニウソン(ポルト)」など、多岐に渡った質問は、そのままコパ・アメリカでの見どころにも繋がる。