実の息子の中学受験に悩む43歳大手企業社員が中卒の料理人の夫の浮気を疑うようになるまで
中学卒業後に和食店に弟子入り
「私は28歳から2年間、アメリカ支社に勤務になったんです。とはいえ、全くの下っ端ですよ。後輩の男子も一緒に赴任したのですが、そいつは今、ヨーロッパ支社にいます。私は海外から2年で返されちゃったんです。海外勤務は私の夢で、それが敗れて絶望していた時に、たまたま和食店に入ったら、びっくりするくらい美味しい茶碗蒸しが出てきたんです。それを作ったのが夫でした」 7歳年上の夫は中学卒業後、和食店に弟子入りし、そのまま修行を積み独立したのだそうです。 「夫は海外の店でも働いた経験がある。だから、めちゃくちゃ落ち込んでいた私の話を聞いてくれて、私の好物をたくさん出してくれたんです。私も酔ってしまって、気がついたらホテルにいました」 夫は沙織さんがこれまで交際した人の誰よりも、性の技巧に長けていたといいます。 「食材を扱っているからかすごく繊細なんです。私の体を宝物のように扱ってくれて、褒めてくれて、本当に幸せでした。その後、何度か関係を持つうちに妊娠。結婚しようとプロポーズされたのです」
バツイチとは知っていたけれど
交際1年もしない入籍は、親も大反対。ただ、それなりに評価を得て人気もある和食店を構えていることや、夫のおおらかな人柄、そして沙織さんがベタ惚れしており、さらに妊娠もしていたので、両親も受け入れてくれたそうです。 「でもその後、一波乱あったんです。当時、37歳の夫がバツイチであることは知っていました。でもまさか、14歳の息子が同居しているとは思わなかった。夫は私と出会う3年前に離婚しているのですが、離婚するとき“パパがいい”と言い引き取ったんです。結婚し、私は妊婦なのに14歳の男の子の世話をしなくちゃいけなかったんですよ」 夫と先妻との息子は、家事も一通りこなせて、沙織さんの言うことをよく聞いたそう。生まれてきた沙織さんの息子の面倒もよく見てくれて、保育園のお迎えなどもサポートしてくれたとか。
義理の息子の大学進学を後押し
海外勤務経験もあり、誰もが知る企業で働く沙織さんを尊敬していることも伝わってきたある日、息子に進路を聞くと「高校か専門を出たら適当に働く」と即答。それに沙織さんは、「大学に行きなさい。そこから考えた方がいい」と勉強を教えます。筋はよかったそうですが、高校受験には間に合わなかった。そこで、少しレベルが低い都立高校に入学し、そこでトップの成績を維持し、指定校推薦で中堅私立大学に進学。現在は流通大手に正社員として勤務し、大学の同級生と結婚したばかりだそう。 「私は、夫にも義理の息子にもいいことをしている。それなのに、私の息子の中学受験には全然協力してくれないんです。模試の結果も悪くて、“ここが最低”というランクの学校にも手が届いていない。それなのに塾をサボるし、勉強はしないし。このままでは大学さえ行けない。中卒の夫の息子がそれなりの大学に行ったのに、私の息子が箸にも棒にも引っかからないのは、話になりません。こんなことなら産まなきゃよかった。消えてほしい。人生やり直したい」 我が子に対して、ひどい言葉を使うのは、相当追い詰められていると感じました。そこに夫が浮気をしているとなると、沙織さんは踏んだり蹴ったり。不満は弱いものに向くので、現在6年生の息子さんが心配になりました。 「夫は塾の夏季合宿あたりから、外泊が増えていました。と言うのも私が息子を叱ると“そこまで言わなくてもいい”と庇うんです。勉強量が足りないから、成績が上がらないのに“息抜きにどこか行こう”と連れて行ったりする。今が大切なんです。今頑張れば、上に行けるのに、夫はそこから逃げる手助けをする」