モダンな作風の建築家が最も心惹かれたホテルは、なんと元教会!?大江泰輔さんが感動した宿をご紹介
芦屋を拠点として関西圏を中心に数多くの豪邸を手掛けるマニエラ建築設計事務所の大江泰輔さん。光、風、水と緑を住空間に巧みに取り入れた端正な住宅は、内と外が自然につながる居心地のよさにあふれています。 イタリアへの留学を経て、海外の建築事務所での勤務経験がある国際派の大江さんが惹かれたホテル、憧れの宿をお聞きしました。 【写真集】空間づくりのプロが選ぶベストホテル3選。建築家・大江泰輔さんを感動させた宿
大江さんがこれまでで、最も感動したホテル「ポウザダ モステイロ デ アマレス」(ポルトガル)
12世紀に建てられた修道院をポルトガルを代表する建築家、エドゥアルド・ソウト・デ・モウラがリノベーションを手掛け、ホテルに生まれ変わっています。 外観は荘厳な教会建築のままですが、内部に入ると時を重ねたものだけが放つ独特の素材感とソウト・デ・モウラによるモダン建築のエッセンスが融合し、その絶妙なバランスが魅力です。 2011年にプリツカ―賞を受賞。現在71歳で活躍しているモウラは、ミース・ファン・デル・ローエの影響を強く受け、自然とモダン建築が融合した優れた建築を多く生み出しています。
「コロナ禍になる数年前、ヨーロッパへの出張の折にまったく予備知識をもたない状態のまま知人に連れられて訪問しました。山道を抜けてタクシーを降りたら教会の広場に出てきて、その横に位置する修道院へ到着。ホテルはこの建物のなかにありました。 調べてみるとエドゥアルド・ソウト・デ・モウラが改修したことがわかって!以前から好きな建築家だったので、偶然にもここで体感できたのがうれしかったですね。 彼らしい自然の取り入れ方や古い建物とモダンなディテールとの共存の仕方など、随所にとても魅了されました」
大江さんがずっと愛し続ける宿「二期倶楽部」(栃木)
御用邸を擁する那須に立つ名所として知られていた「二期倶楽部」。周辺の環境と融合した渡辺明による建築美が大江さんの心を打ったといいます。現在は当時のままの姿ではなく、変化を遂げていますが、かつてはとても好きな宿として訪問していたそう。 今も大切に当時のその佇まいを心に留めているのだそうです。 「素晴らしい那須の自然環境のなかで、全体が低層で自然との調和がありました。低い軒先と水盤の水平線がとても印象的で、外壁に使われている大谷石の素材感もよかったですね」