トヨタの「信頼性」が1番? ゴルフ/308/カローラ・スポーツ 3台比較試乗(2) 一長一短あるけれど
車内の人間工学が足を引っ張る308
残りの2台も素晴らしいが、それぞれに小さな弱みがある。308はステアリングホイールが小径で真円ではなく、どの程度回すべきか掴みにくい。手のひらへのフィードバックも小さい。 ゴルフは、ブレーキペダルの反応が敏感で安定しない印象。そのかわり、英国では720ポンド(約14万円)でアダプティブダンパーを組める。ソフトにすれば上質になり、ハードにすれば引き締まった身のこなしを得られる。 動的特性の幅は広い。それでも、意外かもしれないが、カローラ・スポーツより優れた印象とはいえないだろう。 一長一短はあるが、好ましい操縦性を備え、燃費は優秀で、快適性を褒められる点では共通している。しかも、英国価格は3万5000ポンド(約672万円)以下と、良心的だ。 明確な勝者は決めにくい。とはいえ、僅かな優劣は存在する。308は、車内の人間工学が足を引っ張る。操縦性の自然さでは、他の2台に及ばないだろう。英国価格も、この中ではお高めだ。 ゴルフは、高級感ある大人なインテリアデザインが好ましい。アダプティブダンパーと7速デュアルクラッチATの組み合わせなら、多様なシーンで運転を楽しめる。
自然な感じで馴染めるカローラ・スポーツ
果たして今回の比較で、ファミリーハッチバックとして最も運転しやすく、自然な感じで馴染めるのはカローラ・スポーツだろう。燃費は1番良いし、アダプティブ・クルーズコントロールの動作も優秀といえる。 英国価格は、最も安価なゴルフなら、最も安価なカローラ・スポーツより安い。だが、最も高価なゴルフは、最も高価なカローラ・スポーツより高い。 価格的には拮抗していても、トヨタには強力な武器がある。他を寄せ付けない信頼性だ。ゴルフは、アップデート後でもタッチモニターに不具合が生じた例を知っている。今回も、エンジンの始動で不安定な場面があった。 8.5代目のゴルフは、本来のフォルクスワーゲンの姿を取り戻したようなモデルだと思う。ショールームでは、どちらを選ぶべきか悩むはず。しかし、数年後に正しい選択だったと実感する割合が高いのは、カローラ・スポーツではないだろうか。