飛行機で隣の席に“ニオイのキツい人”が来たらどうする?「驚きのトラブル」に遭遇した体験談
離着陸時のトラブル事例
異臭問題は、さらに複雑化することがある。前述の旅行サイトの情報では、アムステルダムからモロッコ王国のカサブランカに向かうエア・アラビア・モロッコ航空の機内で発生したある事例では、着陸の準備でシートベルトサインが点灯している際に、乗客がトイレに行こうとし、客室乗務員に制止されたにもかかわらず、強行した事例が発生した。 離着陸時はラバトリーの鍵を客室乗務員がロックすることがあり、使用できなかった当該旅客が最終的にはギャレーの床に排便してしまうという事態が発生した。この便に同乗した旅客には同情の念を禁じ得ない。このような場合に密閉空間の恐ろしさがある。 最後に、筆者が実際に経験した機内での異臭騒ぎの話で締めくくろう。欧州から日本への帰国便機内での出来事だ。ほとんどの乗客は照明が消された暗い客室で安眠していた。夜間に客室乗務員は頻繁に通路を歩くことはない。数十分間隔で水分補給のために飲み物を持ってまわるくらいだ。それがその便に限って客室乗務員がうろうろするではないか。
夜間飛行の異臭騒ぎ
それも手に懐中電灯を持っている。明らかに何かを探している様子であった。ほどなくして捜索は終わったようでまた静かな機内に戻った。その後、すえた匂いが機内を充満していた記憶が残る。 当時、取材のために搭乗していた私は客室乗務員に「何事だったのか」を聞いてみた。すると、欧州で航海の仕事が終わった船員が本国に帰るための移動中であったのだが、その船員が深酒で前後不覚になり、ギャレーをラバトリーと間違えて、用を足してしまったと聞いた。 ギャレーの床は水浸し。客室乗務員は彼が脱ぎ捨てて行方不明にしてしまったパンツの行方を捜していたのだと言う。客室乗務員はそれこそ液体と臭気との戦いであったと回想している。 この話は、30年以上昔のジャンボジェット機内での出来事である。客室乗務員にここだけの話として聞いたものであるが、すでに時効であろうと公開させていただいた。航空機内は人生の縮図であり、色々なことが起こるものだ。機内では、搭乗者全員が快適に過ごすことができる工夫がされている。もし、当該状況に遭遇したら、冷静に行動に移して貰いたい。 <TEXT/北島幸司> 【北島幸司】 航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
日刊SPA!