“通話できるApple Watch”で注目、「eSIM」をめぐる3つの疑問
(3)中古端末を使いたい場合はどうすればいいの?
最後に聞いたのは、友人・知人から譲渡されたり、中古端末など携帯電話会社の窓口以外で購入したりした場合にはどうすればいいのかという点です。Apple Watchは中古市場やネットオークションでも多数流通しており、今後Apple Watch Series 3についても中古端末を購入して使用するというシーンは大いに考えられます。中古端末でもeSIMの手続きはしてもらえるのでしょうか。 この点について3社に聞いたところ、各社とも親機となるiPhoneの携帯電話契約があれば、Apple Watch Series 3を紐付ける手続きは利用できるとのこと。 ただし、同じApple Watch Series 3でもモデル番号によって対応する通信規格が異なるため、海外で販売されたモデルは日本の携帯電話会社では使用できません。日本の携帯電話会社が扱えるのは、モデルA1889(38mm)とモデルA1891(42mm)になりますので、注意しましょう。
様々な端末に組み込めるeSIMは、携帯電話会社の商機を生み出す
Apple Watch Series 3については、eSIMによって通話・通信機能を搭載したことによって、従来モデルを取り扱ってこなかった携帯電話会社がスマートフォンやタブレット端末に次ぐ看板商品にできる可能性を秘めており、スマートフォンとセットで利用できるお得な料金プランを設定したり、端末の分割払いに対応するなど力を入れています。携帯電話会社が拡販に乗り出すことで、これまで普及拡大が疑問視されてきたスマートウォッチ市場が国内で急拡大する可能性も十分に秘めているといえます。 またeSIMは、腕時計型端末のような小型デバイスだけでなく、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、カーナビ、ウェアラブル端末など様々なデバイスに通信技術を組み込める技術としても注目されています。今後Apple WatchのようなeSIMを内蔵した新たなデバイスの登場機会が増えれば、通信業界全体にとっては大きなビジネスチャンスの到来が期待できるでしょう。 しかし今回の取材で、ユーザーのモバイル利用の選択肢を大きく広げる立役者となったMVNO事業者が、Apple Watch Series 3で通話機能が実現したという大きなトピックスについては“蚊帳の外”に置かれてしまっていることがわかったように、利用者の選択肢の幅や利便性を考えたeSIMの制度設計を業界内で検討していく余地は、今後十分にあると言えるのではないでしょうか。 (井口裕右/オフィスライトフォーワン)