【マーメイドS】永島まなみ騎手&アリスヴェリテ、影も踏ませぬ逃走劇で重賞初制覇 「後ろから来ないで…」
永島まなみ騎乗(21)=栗・高橋康=で4番人気のアリスヴェリテが、格上挑戦ながら50キロの軽ハンデも生かした逃走劇を披露し、2馬身差の完勝。人馬ともにうれしい重賞初制覇となった。2着には1番人気のエーデルブルーメ、3着には6番人気のホールネスが入った。 ゴールが近づくにつれて大きくなる歓声。アリスヴェリテが後続を振り切り、逃走劇を成し遂げた。デビュー4年目、JRA重賞10度目の挑戦で初勝利となった永島騎手はゴール後、初コンビの相棒の首筋を左手でポンと叩いてねぎらった。 「本当にすごくうれしいです。50キロのハンデでしたし、この馬らしい競馬をしようと。(最後は)『後ろから来ないで』と思っていました」 腹は決まっていた。スタート直後から先手を主張。最内から同じくハナを狙ったベリーヴィーナスに競り勝ち、先頭に立った。2番手以降を引き離すと前半1000メートル通過58秒3というペースで大逃げの形に持ち込み、そのまま押し切った。 前走まで騎乗していた柴田裕騎手から〝気負わず走れれば、ハイペースでも頑張ってくれる〟と助言をもらって「けんかをしないように、リズム重視で。馬も応えてくれました」。ゴール後は騎手仲間から祝福され「『おめでとう』といってもらえて、うれしかったです」とはにかんだ。 JRA所属の女性騎手による同重賞制覇は藤田菜七子、今村聖奈に続き3人目。ルーキーイヤーこそ7勝も2年目の2022年は21勝、昨年は50勝。今年も19勝(16日終了時点)と進化を遂げている。師匠の高橋康調教師は成長の理由を「デビューしたときから変わらぬ探求心。素直で僕や周囲の人の言うことをすごく聞くのも、いいところかな」と説明する。 リフレッシュは母・まゆみさんやバレットを務める姉・みなみさんとのテレビ電話。時には1時間に及ぶ長電話になることもある。この日は母が京都競馬場に来場。目の前で勝利を届け「たまに来てくれるんですが、その前で勝ててよかったです」と笑みがこぼれた。 「もっと重賞でも活躍できるジョッキーになりたいですし、普段のレースから1つ1つの積み重ねを大事にしていきたいです」。アリスヴェリテとともに、一つ上のステージへ。人馬ともにさらに進化していく。(山口大輝)