カルティエ、シャネル、ヴァンクリ…速報!2024新作時計(前編)10大ブランドの推しは
【#09 エルメス】初のレディース機械式コレクション 待望のデビュー!
メゾンが得意とする幾何学的なデザインのエスプリを打ち出した新生コレクション、「エルメス カット」が誕生。丸みを帯びた立体の中に平面の円をはめ込んだような、オリジナリティー光るフォルムがアイキャッチーだ。 サテンとポリッシュ仕上げを組み合わせたバランス、ネーミングのごとく大胆にも紡錘形に「カット」されたケースサイドの意匠とその断面が放つ力強い輝きなど、シルエットからテクスチャーに至るまで緻密に設計されている。また、意表をつくもう一つのディテールといえばリューズ。オレンジのラッカー仕上げとブランド名の頭文字「H」の刻印で飾ったリューズは、1時30分位置にレイアウトされ存在感を放つ。 シンプルながら随所にウイットをちりばめた「エルメス カット」。レディース仕様の時計コレクションとしては初めて自動巻きムーブメントを搭載している点も、見逃せないニュース。露(あら)わになったムーブメントの鼓動をケースバック越しに眺める楽しみも。 メゾンのカラーパレットをまとってフォルムで遊ぶ新しい「時」のオブジェは、機械式ウオッチを軽やかに装う喜びを教えてくれるはず。
【#10 IWC】ジェンダーレスに魅了 「ポルトギーゼ」イヤーの幕開け
質実剛健な時計づくりで支持されるIWC。フラッグシップコレクションの「ポルトギーゼ」には、時代に左右されない普遍性と控えめでいてオリジナルな魅力がある。スリムなベゼルに大きなダイヤル、細身のリーフ型針やクセのないアラビックインデックス。それぞれのディテールがバランスを保ちながら視認性を高め、無駄をそぎ落とした末の上質さがアイデンティティーに。 2024年は最もベーシック&シンプルな「ポルトギーゼ・オートマティック 40」から、「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」など6モデル、豊富なカラーの全17種類がラインアップ。まさに「ポルトギーゼ祭り」の盛況ぶり。 クワイエット・ラグジュアリー(静かなぜいたく)を好む紳士淑女に推したいのは、ホワイトゴールドケースに新色ホライゾンブルーダイヤルを採用した「ポルトギーゼ・オートマティック 40」。ケース構造を見直し、ほっそりとした側面のルックスをかなえたことで、さらなる洗練とエレガンスをたたえている。「ポルトギーゼ・クロノグラフ」からは、沈みゆく太陽が大地を金色に染める情景を映し出したデューンダイヤルに注目を。 いずれの新作も、カラーダイヤルの奥行きある美しさは、さまざまな妥協なき仕上げや幾重にも施されたラッカー塗装といった手の込んだ工程の賜物(たまもの)。 文:愛甲悦子(ファッション・ジュエリー&ウオッチエディター)
愛甲悦子
『家庭画報』『VOGUE JAPAN』『Harper's BAZAAR』などにおいてファッションエディターとして13年間の出版社勤務を経て、2010年に渡独しフリーランスに。エディター・ライター歴は25年以上。ドイツ・ケルンを拠点に女性誌の取材・撮影や、広告・カタログを手がける。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。