「夜行急行」が鉄道観光を復活させる? 「寝台2両+座席主体」という新提案、“夜行専用会社”があったら面白くないだろうか?
コスト削減で収益増加
では、新たな方法はどのようになるのか。 1.運行コストと効率性のバランス 2.利用者層のターゲティング 3.環境への配慮と技術的改善 の観点から考えてみよう。 まず、運行コストと効率性のバランスについてだが、夜行列車の運行に関する経済的懸念は理解できる。しかし、時代に合わせた柔軟な運行形態やダイヤ調整を行うことで、安定した収益を確保する方法は十分に考えられる。特に、寝台車両の比率を最小限に抑え、主に座席車中心の列車にすることでコストパフォーマンスを重視し、経済的負担を軽減できる。また、座席車両をJR旅客各社の多客時に安く貸し出す方法も、利益を得るひとつの手段となるだろう。 次に、利用者層のターゲティングについてだ。インバウンド需要を取り込むために、特に観光シーズンや繁忙期に合わせて柔軟な運行を行うことで、利用者の安定を図ることができる。例えば、インバウンドにとって、寝台車両や長距離移動が可能な夜行列車は異文化体験として非常に魅力的だ。また、ビジネス関連の大きなイベントなどがあるときにも、「寝て行ける車両」をアピールすることで、利益を得ることができるだろう。 環境への配慮と技術的改善に関しても重要だ。最新の省エネ車両技術を導入すれば、持続可能な運行が可能となる。例えば、サンライズ形式の電車において、車両の電力効率を高めることで、環境負荷を減らしつつ運行を続けることができる。また、非電化区間を想定して、蓄電池車両や発電車両を導入することもひとつの選択肢として考えられる。
進化する夜行列車の未来
最終的に、「JR夜行」というアイデアは、過去の夜行列車のよさを再現しつつ、現代のニーズに合わせて進化する可能性がある。 安価で快適、観光とビジネス両方に対応できる夜行列車の運行は、鉄道業界に新しい可能性をもたらすだろう。 また、インバウンド需要の取り込みや観光振興にも貢献し、日本の鉄道文化を世界に発信する重要な手段となるかもしれない。 賛成する人もいれば反対する人もいるが、 「夜行列車の運行方法には、このような選択肢もあるのではないか」 というひとつの妄想、ひとつの未来像として、「JR夜行」という方法も選択肢に入るはずだ。 このようなアイデアを否定せず、その可能性を検証することが、ビジネスパーソンやインバウンド需要に応えるために重要である。
北條慶太(交通経済ライター)