優勝し、川崎春花（左）と抱き合う佐藤心結（撮影・蔵賢斗）

スタンレー・レディスホンダ最終日（6日、静岡・東名CC＝6610ヤード、パー72）首位で出たプロ3年目の佐藤心結（みゆ、21）＝ニトリ＝が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算15アンダーでツアー初優勝を果たした。2003年度生まれ〝ダイヤモンド世代〟では6人目の優勝。河本結（26）＝リコー、尾関彩美悠（21）＝JFEスチール＝が通算13アンダーで2位。今季7勝の竹田麗央（21）＝ヤマエグループHD＝は67で回り、通算12アンダーの4位だった。 ウイニングパットを沈めると、佐藤は両手を空に突き上げ、そしてこぼれ落ちる涙をぬぐった。プロ102試合目で初の歓喜の時を迎えた。 「最終ホールは、ずっと足がガクガクになりながらやっていた。優勝できてうれしい気持ちでいっぱい」 自他ともに認めるネガティブな性格だが、この日は違った。前半はスコアを1つ落として首位と3打差。11番（パー5）で初バーディーを奪い、そこから「まだまだいける」と奮い立たせた。14番からは4連続バーディー。アマチュアだった3年前、渋野日向子とのプレーオフで敗れ、悔し涙を流した舞台。「ワクワクしてくる感覚があった」と成長に胸を張った。 ツアー5勝の川崎春花や、今季7勝の竹田ら同世代が勝利を積み重ねる一方、佐藤は今季17度の予選落ち。苦しみ続ける中、助言をくれたのがツアー7勝の米山みどりさん（48）だった。 8月の「日本女子オープン」最終予選。49位で予選落ちすると、同組選手のキャディーを務めていた米山さんから、競技後に「言いたいことがある」と声をかけられた。驚きながらも話を聞くと、ティーショットと素振りでのスイングのギャップや、パッティングでのフォローの意識など、即席の〝講習会〟が始まった。 気落ちする佐藤を見るに見かねてだったのか―。それでも突然の〝天の声〟を受け「ガラッと面白いぐらい変わった」という。米山さんは今大会でテレビ解説。恩人も見守る中で最高の恩返しとなった。 ダイヤモンド世代としては通算20勝目で、待っていた竹田と川崎が抱きしめてくれた。「いつもは迎える方だけど、きょうは迎えられる方。同世代は本当に宝物です」。よきライバルたちと、さらなる高みを目指していく。（阿部慎）