640馬力の公道向けレーシングカー アウディR8、限定99台の「過激」仕様に お値段約1億円
車重1400kgの過激マシン アプトの真髄
ドイツのチューニング会社であるアプト・スポーツラインは、アウディR8をレーシングカーのように仕上げた新型XGTを公開した。99台の限定生産で、ドイツでの販売価格は59万8000ユーロ(約9750万円)とされる。 【写真】この見た目で公道走行OK? ナンバー付きのDTMレーサー【アプトXGTを写真でじっくり見る】 (13枚) アプトXGTは、ドイツのツーリングカー選手権であるDTMに参戦するアウディR8 GT2の公道バージョンとして、ナンバープレート付きでありながら可能な限り「サーキットの感覚」に近づけているという。 開発には、アウディのレースと長年関わってきたシェラー・スポーツも参画した。公道走行に向けた規制対応やパフォーマンスの維持など、開発は「従来の車両開発の範囲を超えた」、「2年間にわたる極めて複雑」なものだったという。 R8 GTと同じ5.2L V10エンジンを搭載し、最高出力640psを発生。後輪駆動方式で、車重は170kg軽量化されて1400kgとなり、最高速度310km/h、0-100km/h加速は3.4秒以下を達成する。 アプトのハンス・ユルゲン・アプトCEOは、「このユニークなコンプリートカーの開発に我々を駆り立てたのは、挑戦そのものでした。XGTは、アプトの伝統の真髄なのです」と述べている。 DTMドライバーのケルビン・ファン・デル・リンデ氏とリカルド・フェラー氏はXGTに試乗し、その「ロードハンドリング、ステアリングの挙動、加速は、どのロードカーとも比較できない」とコメントした。 XGTは標準のR8にレーシーな装飾を施したものではなく、公道走行可能なレーサーと銘打たれている。そのため、DTMレーサーと同じ熱管理システムと車両診断システムを備えているが、燃料供給システム、ハンドブレーキ、セントラルロック、バックカメラなど、一般的な市販車と同じ機能も一部搭載される。 足回りとしては、デュアル・アジャスタブル・サスペンションに特注の鍛造スプリングとダンパーを組み合わせている。タイヤはピレリPゼロ・トロフェオRを履く。 当然ながらスタイリングはレーシングカーにインスパイアされたもので、ブロンズのフロントカナード、ルーフラインとほぼ同じ高さのリアスポイラー、フロントフェンダーとルーフのエアインテーク、パースペックス(Perspex)製ウィンドウなどが採用されている。ボディカラーは4色から選択可能。 インテリアでは、DTMレーサーのコントロールパネルとステアリングホイールはそのままに、ミラー、エアコン、インジケーターなどを操作できるよう一部のスイッチを公道用に変更した。インストゥルメントクラスターも簡素化され、レブカウンター、車速表示、トラクションコントロール設定、アンチロックブレーキ設定が拡大されている。
ジョナサン・ブライス(執筆) 林汰久也(翻訳)