フランス人に学ぶ「人生で一番大切なもの」を明確にする生き方
プライベートを犠牲にして、仕事を優先してしまうという人がいます。しかし人生において仕事とはどんな意味を持つものでしょうか? フランスでは「人生で一番大切なもの」を明確にし、その指針にそって働くものだといいます。前田康二郎さんが、日本にも長く在住した経験を持つフランス人夫妻、パスカル・フロリさんとセドリック・フロリさんに学んだ生き方について書籍『改定新版 自分らしくはたらく手帳』よりご紹介します。 フランス人がマルシェで野菜を買う時に「値段よりも重視すること」 ※本稿は、パスカル・フロリ、セドリック・フロリ、前田康二郎著『改定新版 自分らしくはたらく手帳』(クロスメディア・パブリッシング)を一部抜粋・編集したものです。
生き方の中に、 はたらき方がある
自分のことは自分が一番わかっているつもりでも、自分とかけ離れた立ち位置にいる人と話をすることで、改めて自分を知ることがあります。パスカルさんと話をしていると、フランス人についてのことはもちろん、日本人とはこのような特性があるのだ、と改めて気付かされるのです。 はたらくということについては、日本人は「仕事」が常に人生の中心にあり、その外側にプライベート、家族、休暇、趣味、友人など、その他のものが「付随」しているというイメージで生きています。だから日本人は、 「仕事もプライベートも大切」という考え方を「それはわがままなのでは」と思ってしまうのかもしれません。 なぜなら、「プライベートより仕事が優先」という姿勢を見せなければ、会社から評価されませんし、人生の中心を占めるメインの「はたらき方」がしっかりしていないと、その人全体がしっかりしていない、と家族や世間などから思われてしまうところがあるからです。パスカルさんも「そうですね。だから日本人は仕事に対してのこだわりや責任感が強いのだと思います」と言います。 一方、フランス人は「生き方」というものが常に中心にあって、その内側に、はたらき方、家族、友人付き合いなどがあります。フランス人は、生き方、自分の人生の指針にこだわりのある人が多いということも言えるでしょう。 Il faut manger pour vivre et non vivre pour manger. 人は、生きるために食べるのであって、食べるために生きるのではない 日本人は、仕事に対してのこだわりが強いから、そこに努力は惜しまない。一方フランス人は、自分の人生の指針を曲げないから、その指針の中で重要なものは、徹底的に大切に扱います。それが家族なのか、パートナーなのか、食なのか、ボランティアなのか、趣味の絵画なのかはみな人それぞれに違います。けれど、指針の中で「仕事」が大事な位置づけを持っているならば、努力は惜しまない。 パスカルさんは、「日本は、職場や家庭など、あらゆるものが個人単位ではなく、グループ単位ですから、それらのプレッシャーが大変ですよね」と言います。私も彼女にそう言われてドキッとしました。そうしたグルーピングを優先してしまうあまり、本来自分自身のやりたいこと、望む生き方を封印してしまう人がたくさんいるのではないかと思ったのです。 まずは、「あなたの人生で一番大切なもの」をはっきりさせる必要があるのではないでしょうか。