フランス人に学ぶ「人生で一番大切なもの」を明確にする生き方
お金は大切、だけど......
ある会社で、役員の携帯が鳴りました。 その方が電話を切った後、どのような内容かを話してくれましたが、「セミリタイアして暇だから、南の島へ一緒に遊びに行かないか」というお誘いだったようです。そんな誘いって本当にあるんですね、と言ったら「でも仕事のほうが大事だし、何日か遊んだらすぐ飽きちゃうから断りましたよ」ということでした。セミリタイアした人もまだ若い方のようで、同じ年代で一緒に遊んでくれるような時間のある人がいないのでしょう。 お金があるのだから、1人で悠々自適に過ごせばいいのに、と思ってしまいますが、いくらお金と時間があっても、一緒に楽しんでくれる人がいないと、やはり物足りない。お金のある人はある人で悩みがあるということでしょう。 私もいつか、書いた本がベストセラーになって南の島で優雅に年に何冊かエッセイを書いて......などという生活を夢見ていますが、そのように妄想しているときが、一番楽しいのかもしれません。 L’argent ne fait pas le bonheur. お金持ちだからといって、幸せとは限らない お金は大切だけれど、何のために、どれくらい必要なのかということは、考えていないといけないことなのかもしれません。パスカルさんともよく会話をする中で「どう生きたいのか」ということが話題に出てきます。 「どう生きたいのか」ということを「最初に」考えておけば、たとえばお金や仕事に関しても、「これで十分」というところで打ち止めをして、他に人生を充実させるものに時間を充てることができるでしょう。しかしそれがないと、「とにかく今は稼げるだけ稼がないと。どう生きるかはお金が溜まってから考えよう」という発想になってしまいます。 自分にとって本当に必要なだけのお金があって、大切な人がいてくれればそれでいい。日本でも「粋」という言葉がありますが、フロリさんの家を訪れても、話をしても、いつもその言葉が思い浮かびます。「身の丈にあった、ふさわしい生き方、はたらき方」。それは伝統的な日本人の姿でもあり、フランス人とも共通するものがあると思うのです。
パスカル・フロリ,セドリック・フロリ,前田康二郎(流創株式会社代表取締役)