学校断熱ワークショップで教室の暑すぎ・寒すぎ問題が解消! 生徒がDIYで「勉強に集中できる」効果実感、電気使用量も70%減 エネルギーまちづくり社・竹内昌義さん
断熱ワークショップの意義は、エネルギー啓発+カスタマイズの楽しさ実感
「学校は子どもたちが心身を育む大切な場所です。DIYでの断熱改修はゴールではなく、本来は公共工事でやるべきこと。だけど、まずはみんなでやってみよう、そしたらこんなにも変わるよねっていうのを実感してもらうために、ワークショップという形式をとっています」と竹内さん。
断熱材を入れている様子。
実際に断熱ワークショップに参加した生徒たちからは、こんな声が聞かれています。 「冬、ストーブ近くは暑くて窓際は寒かったけれど、温度ムラがなくなってどこにいても暖かい」 「昼にはなくなっていた灯油が午後まで残り、驚くほど暖かくなった」 「夏はエアコンが効いて涼しくなり、勉強に集中できるようになった」 「二重窓で外の音が遮断されて静かに感じる」 「断熱材の上から木の板を張ったら、教室の雰囲気が変わった」 「建物の構造に興味があり参加した。仕組みの勉強になった」 「のこぎりで板を切って腕が疲れたけど、楽しかった」
これらは実際の数値にも表れていて、改修後に実証実験を行った仙台の小学校では、断熱改修していない教室と比べ、断熱改修した教室の電気使用量は約70%に抑えられたという結果が得られました。
こうして自らの手や体を動かして断熱改修を体験することにも、大きな意義があります。 「まず、改修工事を自分でできると思っていない人が多い。海外では当たり前の『自分たちが住む、過ごす空間を自分たちの手でなんとかする』という機会が少ないのは日本特有のこと。賃貸住宅なら穴も開けられない、などはその一例ですよね。断熱ワークショップを体験すると、『みんなでできて楽しかった』という達成感が味わえます。建物を自分たちでカスタマイズできるんだ、と知ってもらうことにも意味があるのです」 もう1点、準備段階も含め、地域の工務店に関わってもらうこともポイント。工務店の断熱に対する意識を高め、今後は中古住宅の改修を中心に、地域の産業を生み出していけたらと竹内さんは考えています。 「人口が減り、新築住宅が減っている現在、中古住宅のリノベーションは今後より大きなビジネスになっていくはずです」。地域の工務店の出口戦略であり、結果としてそれが地域のためにもなるというわけです。
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