初めての4WD! 初めてのハイブリッド! 初物尽くしの「シボレー・コルベットE-Ray」をキーマンが語る
機能性を犠牲にせずハイブリッド化できた理由
上原:いかがでしたか? 実車を見た感想は。 ――電動化するにあたって、もっといろいろ犠牲になるんじゃないかと思っていました。フロントトランクがなくなるとか、右ハンドル仕様は用意できないとか。 上原:この8世代目のコルベット(以下、C8)は、最初からハイブリッド車の設定が想定されていましたからね。レーシングカーとかZ06などと一緒に。 ――開発当初からE-Rayの設定を前提にクルマがつくられていたから、強引な設計変更をしないでも済んだわけですね。 上原:あと、コルベットならではの設計が有利に働いた部分もあります。コルベットって伝統的にクーペとコンバーチブルがあって、しかもクーペでも屋根は脱着式になっているじゃないですか。なので、屋根がない状態でもボディー剛性を成り立たせる、そういう設計になっているんですよ。FRだったC7までは、プロペラシャフトやエキゾーストを通すトンネルが車体の真ん中をドーンと縦貫していて、それで剛性を確保していました。いっぽうC8はミドシップなので、そういうものを前から後ろに通す必要はなかったんですけど、やっぱり剛性を確保するために、大きなセンタートンネルが設けられています。E-Rayではそれを活用して、車体の真ん中にバッテリーを積むことができました。なので荷室も乗車スペースも、あまり犠牲にせずに電動化することができたんです。 ――フロントにはモーターも積まれていますが、前のトランクスペースはほかのモデルと一緒ですか? 上原:ほぼ一緒です。厳密には2リッターぐらい減っていますけど。E-Rayではパワートレインを電動化するうえで、クーリングシステムを2つ増やしているんです。ひとつはインバーターを冷やすもの、もうひとつはモーターを冷やすものですね。そのホースがフロントトランクの脇を通るので、そのぶんだけ、スペースを持っていかれてしまいました。 ――実車を見ても全然気づきませんでした(笑)。