異端の原点と黎明期のスクランブラー──同系車とは異なり、オフロード性能を本気で追求したCL72 【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.7】
CL250[1968]
1968年に発売されたCL250は、オンロードモデルのCB250とほぼ同時期に開発。前任車のCL72と比較すると、専用設計パーツは少なくなっているものの、シリーズの長兄となるCL450と同様に、左側2本出しアップマフラーや19/18インチホイール、ブリッジ付きワイドハンドル、小ぶりなガソリンタンクなどを採用。最低地上高はCB250+30mmの180mm。なお当時のホンダはスクランブラーの充実化に力を注いでおり、1970年のカタログには、50/70/90/125/175/250/350/450と、計8機種ものCLシリーズが並んでいた。
YAMAHA YDS3-C[1966]
1959年の時点でYDS-1用のスクランブラー用のキットパーツを販売していたヤマハだが、完成車としてのスクランブラー第1号車は1966年にデビューしたYDS3-C。ただしこのモデルは輸出専用車で、同社が初めて日本市場に投入した2スト250ccパラレルツインのスクランブラーは、1969年型DS6-Cだった。
SUZUKI TC250[1967]
1960年代前半の250ccクラスで熾烈なバトルを繰り広げていた、ホンダCB72とヤマハYDSシリーズの牙城を崩すべく、スズキは1965年に2スト250ccパラレルツインロードスポーツのT20を発売。1967年にはそのスクランブラー仕様として、左右出しアップマフラーを採用するTC250を世に送り出した。なお当時のスズキはモトクロスに非常に熱心で、1965年から世界選手権への参戦を開始し、1970年には250ccクラスで日本車初の王座を獲得。
KAWASAKI A1SS[1967]
スクランブラーに分類できるモデルとして、カワサキは1960年代中盤に82ccのJ1TRや175ccのF2T2などを発売。250ccスクランブラーの第1号車は、A1をベースとするA1SSだった。なお2ストパラレルツインというエンジン形式は同時代のYDSシリーズやTC250と同様だが、ヤマハとスズキの吸気方式がピストンバルブだったのに対して、カワサキはロータリーディスクバルブを選択。 ●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:ホンダコレクションホール ※記事内の展示内容はリニューアル前のもの ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。