世界初連発でトヨタと日産を凌駕、強烈だった「シャレード」
幻に終わった究極のシャレード
2代目シャレードを象徴するデ・トマソ、グループBのホモロゲを取得した926ターボをミックスした究極の社レートというべきモデル、デ・トマソ926Rが1985年の東京モーターショーに出展された。 デ・トマソ926Rは、エンジンをミドに搭載し後輪駆動に変更。大きく膨らんだ前後のブリスターフェンダーによるワイドボディ、エアインテーク/エアアウトレット、ダクト類も精悍で、ルノーサンクターボを彷彿とさせるスペシャルシャレードだった。 当然ながら市販を切望する声は高く、当時クルマ雑誌などでその存在を知った筆者もワクワクしたが、市販されず幻に終わった。真偽は不明だがダイハツではなくデ・トマソのプロモーションモデルだったという説が有力だ。
1970年代から1980年代の革命的コンパクト
初代以上の成功を収めた2代目シャレードは、1987年まで販売され3代目にバトンタッチ。3代目は洗練されたデザイン、ハイパワーエンジンの搭載などで玄人受けしたが、初代、2代目のようなインパクトは薄かった。 今思い返しても、初代、2代目シャレードは革命的で、ライバルに大きな影響を与えたモデルだと痛感する。その存在感はトヨタ、日産をも凌駕するものだった。 【シャレードデ・トマソ主要諸元】 全長3600×全幅1575×全高1390mm ホイールベース:2320mm 車重:690kg エンジン:993cc、直列3気筒SOHCターボ 最高出力:80ps/5500rpm 最大トルク:12.0kgm/3500rpm 価格:123万円(5MT) 【豆知識】 3代目シャレードは1987~1993年まで販売された。2代目が角ばったデザインだったのに対し、3代目は空力を意識した滑らかなエアロフォルムが特徴でドイツ車テイストに仕上げられていた。エンジンもトップグレードのGTtiの1LターボはSOHCからDOHCとなりリッターあたり100psを超える105psをマークするなど進化を遂げたが、販売面ではインパクトを残せず。ただダイハツ党からは根強く支持されていた。1989年にはシリーズ初となるセダンボディのシャレードソシアルが派生モデルとして登場した。 市原信幸 1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。 写真/DAIHATSU、ベストカー、ベストカーWeb