日産ディーラーの悲鳴 マーチ消失で、現場から「国内向けモデル必要」の声! 車種削減と販売低迷の現状とは
日産販売環境の厳しさ
この10年間で、国内の日産ディーラーの車種ラインアップは大幅に減少し、その影響は販売現場にも表れている。 最近、愛車のメンテナンスのために、筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)が元勤務先を訪れ、担当営業マンであり当時の先輩から現状について話を聞いたところ、販売環境が非常に厳しいという回答を得た。 現在の日産の主力車種であるセレナ、ノート(オーラを含む)、軽自動車のデイズ・ルークスは商品力があり、一定の需要を確保している。しかし、それ以外の車種については厳しい状況が続いている。 特に、トヨタのアルファードやヴェルファイア、ホンダのオデッセイと競合するエルグランドは、車齢が長いため競争において不利な状況が多いという。エルグランドを好むユーザーには支持されているが、それ以外の層には響かないとのことだ。 さらに、根強いファンを持つセダン市場は依然として低迷しており、ティアナやシルフィといったミドルクラスセダンは既存顧客の代替車として提案しても効果が薄い。そのため、オーラをダウンサイジング車として提案するケースが増えているが、他社への流出を防ぐことは難しいという。 人気のスポーツタイプ多目的車(SUV)、エクストレイルやキックスも、e-POWER専売車であり価格が高いため、マツダやホンダへとくら替えされる事例が多いという。また、法人ユーザーに対する代替車提案にも困難をともない、セダン不足が加わることで、さらに状況は厳しくなっている。 かつてのように日産ブランドが信頼を得る時代は過ぎ、若手営業マンの多くが数年で退職してしまう現実があるようだ。
「技術の日産」復活の願い
日産のラインアップには、国内で販売されていない車種が多く存在する。その一例として、 「キックスのガソリン車」 が挙げられる。先述の営業マンもいっていたが、長年エントリーモデルとして親しまれていたマーチが現在はラインアップにない状況だ。販売見込みが立たないとしても、国内市場向けに適したモデルを提供してほしいというのが販売現場の希望だ。 日本市場が縮小し、先行きが不透明な状況が続いているとはいえ、創業地である日本市場を再活性化するような車が登場することを期待している。日産ディーラーも、この思いを強く抱いているのではないだろうか。国内外で人気を誇る車種のデビューはもちろん重要だが、 「技術の日産」 として長年顧客に愛されてきた日産自動車の姿をもう一度見たいと、多くの関係者が願っている。
宇野源一(元自動車ディーラー)