小林製薬の紅麹の打撃と、住友ファーマ巨額減損の背後にある「医療保険制度崩壊」の影響のどちらがより深刻な問題か?
医療費を低減させるソフト、機器
「保険制度」を「保険料で費用を賄うシステム」とすれば、前述のように年金・介護を含む「社会保障(保険)」の費用のうちたった6割しか保険料で賄えず、残りの4割を血税で補填している現状は、すでに「保険制度が崩壊」しているといえよう。 「親方医療保険」で、国民から簡単に搾り取ることが出来た夢のような時代は終り、あまりの保険料負担(年金も同様)の高さに、温厚な日本国民も怒りを顕わにし始めた。 したがって「親方医療保険」で潤ってきた製薬メーカーや開業医などの医療関係ビジネスはこれから厳しい時代を迎えるであろう。 それとは対照的に、「合理化」によって「医療費削減」実現に貢献できる企業はこれからが期待できる。 例えば、「オペラマスター」(参照:第59回日本農村医学会学術総会「オペラマスター導入による手術室業務の可視化と運営改善への取り組みについて」)を含む「手術室マネジメントサービス」を提供するホギメディカルだ。 また、手術支援ロボット「ダヴィンチXi」「hinotori(ヒノトリ)」(日本医科大学付属病院)も普及し始めている。後者は産業用ロボットメーカーの川崎重工と医療機器・試薬メーカーのシスメックスの合弁会社であるメディカロイドが開発および製造販売を行っている。 さらに、2nd Labo 5月17日「【2024最新】電子カルテのシェアランキング|おすすめメーカー製品を徹底比較」に登場するメーカーだけではなく、3月14日公開「建設・農業・医療・教育という『取り残された』産業にDXで革命を起こせるか?」で述べたように、「原始的」な医療業界には、DX化によって合理化できる余地が山ほどある。 もちろん、「健康保険制度」に頼らない「大衆薬」や「日用品」が主体の、冒頭で述べた小林製薬も有望な企業の一つだ。 なお、もし医療業界を始めとする企業に投資をしたいという読者がいれば、「大原浩の逆説チャンネル<第15回>バフェット流の真髄は『安く買って高く売る』これがわから無い人がほとんどだ。(バフェット流の真髄その1)」などを参照の上、自己責任で行っていただきたい。
大原 浩(国際投資アナリスト)