小林製薬の紅麹の打撃と、住友ファーマ巨額減損の背後にある「医療保険制度崩壊」の影響のどちらがより深刻な問題か?
後発薬でも問題続出
それでは、新薬メーカーの特許切れの後に、簡単に言えば「コピー品」を製造するジェネリック医薬品メーカーは活況なのであろうか。 NHK 2022年5月15日【詳しく】製薬会社の行政処分相次ぐ メーカーに何が? (更新)」のように、不祥事を連発しているのが現状だ。 ジェネリック大手の日医工もその一つであり、同社の出荷に混乱が生じた事が全国的な医薬品不足の原因ともなった(参照:朝日新聞 昨年3月3日「日医工、221品目を販売中止 ジェネリック薬不足に拍車かかる恐れ」)。 もちろん、これらのジェネリック医薬品メーカーの問題は是正されるべきである。だが、これだけ不祥事が続くのは、業界(システム)そのものに問題があると推察される。 その一つであると考えられるのが、DIAMOND ONLINE 昨年8月10日「製薬業界に『赤字でも売り続ける美徳』を押し付け、日本医師会の呪縛の異様」という問題である。
「医師会」という「抵抗勢力」
経済合理性を無視して「医は仁術」とばかりに、不採算薬品の供給をジェネリックメーカーに「強要」する行為も、「患者を守る」という大義名分によるものであろう。それを全面否定するつもりはない。 だが、その「美徳」は「他人の懐」、「他人の責任」によるものだと感じる。 1月2日公開「医は『仁術』はもはやオワコン。医療業界の利権構造が善良な現役世代を苦しめている」3ページ目「『敵前逃亡」?」のように、コロナで国民が苦しんでいる時に「診療拒否」を平然と行ったのが医師会(の医師たち)である。 また、薬価が毎年引き下げられているのに、日本経済新聞 昨年9月2日「診療1回あたりの収入増加 財務省主張、報酬上げにクギ」で述べられているように、健康保険財政が破綻しかけている状況において、自らの診療報酬の引き上げ要求だけを何の遠慮も無く行う。 そして(強大な政治権力によってごり押しした結果? ))GemMe 昨年12月20日「2024年度診療報酬改定、本体0.88%の引き上げを行い、うち0.61%は『看護職員等の継続的な給与アップ』に充当する―武見厚労相(1)」という結果になった。 なお、前記の「不採算ジェネリック医薬品」の問題については、政府もさすがに是正に動き始めた。日本経済新聞 5月19日「医薬品生産、撤退しやすく厚労省、後発薬の安定供給へ」と伝えられる。