小林製薬の紅麹の打撃と、住友ファーマ巨額減損の背後にある「医療保険制度崩壊」の影響のどちらがより深刻な問題か?
紅麹問題と小林製薬の責任
小林製薬と「紅麹問題」の関係については、5月16日公開「紅麹よりもワクチンの安全性はどうなっている~パンデミック全体主義について今こそ冷静に考えるべき」で詳しく述べた。 【写真】紅麹よりもワクチンの安全性はどうなっている 腎疾患などの健康問題が発生した人たちと、「紅麹」あるいは「未知の物質X」との「因果関係」は現在のところ証明されていないのだ。 もちろん、「国民の健康を守るために(未知のリスクに対する)『予防的措置』」を講じることは推奨される。だが、そうであれば「未知のリスク」が満載されている可能性が高いコロナワクチンに対しても、政府、製薬会社、メディアなどが同様の対応を取るべきであったというのが、前記記事の趣旨である。 また、邪推かもしれないが、「小林製薬」はファイザーや武田薬品のような「処方箋医薬品」(処方箋が必要な医薬品)主体ではなく、薬局やドラッグストアなどにおいて処方箋無しで購入できる市販薬(大衆薬/OTC)や日用品が主体のメーカーであることも気になるところだ。 政府の対応が、市販薬(大衆薬/OTC)のメーカーには厳しく、(コロナワクチンを含む)「処方箋医薬品」メーカーには甘いようにも思えるのである。 市販薬(大衆薬/OTC)を除く、処方箋医薬品を含む日本の医療制度は、「健康保険制度」によって半強制的に徴収される健康保険料と、足りない部分を補填する巨額の税金で運営されている。 2022年11月21日「健康保険と『国営ねずみ講』の年金を『第2税金化』で維持に必死の日本政府」4ページ目「姑息な手段で小金を徴収するのは末期的症状」で述べたように、「社会保障の給付と負担の現状(2022年度予算ベース)」によれば、年金・医療・福祉(介護を含む)の給付費131.1兆円は、GDPの23.2%に相当する巨額である。 だが、そのうち保険料によって「正常に」賄われているのは、おおよそ6割強の75兆円ほどにすぎない。残り約4割の50兆円程度を「公費」の「赤字補填」に頼っているのだ。 このような「巨額の資金」が動く業界に「闇」が生まれるのは、歴史の示すところである。 さらには、親方日の丸ならぬ、「親方医療保険」の腐敗体質も存在する。合理的な経営をしなくても、国民から搾り取る健康保険料や税金で賄えばよいという考えだ。 小林製薬の「紅麹」問題も重要だが、産経新聞 5月18日「社保料や税滞納の倒産急増 背景にコロナ禍の納付猶予縮小」のように、情け容赦ない「取り立て」が行われているのが税金や保険料である。 情け容赦ない取り立てをしているのに「使い道はザル」というのが健康保険の現状であり、それが医療業界全体を腐敗させ、弱体化しているように思われる。