【特集】日本最古の団地が静岡市にあった!
「羽衣団地」はすぐそばに商店街があり、静岡市の中心街にも歩いていける距離。静岡市役所、県庁も徒歩圏内。静岡駅までもバスで1本でいけます。当然、家賃相場も高いのですが、「羽衣団地」は周囲に比べると家賃は割安。多少建物は古くても、魅力を感じる人は少なくなくないのでしょう。
12月21日、羽衣団地の一室には8人が集まりました。この日は静岡市が主催する「市営羽衣団地見学ツアー」が行われました。静岡市では毎月1回程度、ツアーを行っています。
参加者はおよそ30分、建物の歴史や概要について説明を受けます。部屋にはイメージしやすいように当時の家具やテーブルなどが置かれています。参加者は食器棚、配膳口、手洗い場などを当時のままの施設を見学し、写真におさめていました。
そして一行が、次に向かったのは地下にあった共同浴場。「浴場は8世帯ごとに1つ設けられていて、時間や曜日などそれぞれのローカルルールに基づいて世帯ごとにお風呂に入っていた」という説明をうけ、木製の浴槽をのぞき込む参加者たち。この風呂は、1979年に各部屋に風呂が設けられた後は、使われなくなったということです。
最後に一行が向かったのは屋上。各部屋にベランダができる前は、住民がここで洗濯物を干していたそうです。現在は鍵がかけられていて、普段は住民も立ち入ることができません。今は県庁など高い建物が立ってよく見えませんが、昔は富士山もよく見えたといいます。
静岡市では「羽衣団地」を見学するツアーを月に1回程度実施しています。なぜ実施しているのでしょうか? ●静岡市まちづくり公社 住宅管理課静岡事務所 牛田智之所長: 「みなさんに建物を見ていただいて、歴史的な価値を知っていただきたいと思うとともに、この建物の今後の活用法についてアイデアを募っています。参加した皆様にアンケートをとって、『みなさんだったらどうしますか』というのを聞いています」 参加した人は…。 ●参加者・親子(母50代 娘30代 静岡市): 「なかなか古いものを見ることができないので面白そうだと思いました」 「こういう戦後すぐにできた団地があるのは知りませんでした」 Q今後の活用法は? 「壊されたらさみしい。多世代が交流できる場所。学生と高齢者が住むようなお互いたすけあうようなそういう住宅もいいのかな」 ●女性(市内、60代): 「近くに住んでいて、生まれた時にはあった建物。中を見たことはなくて良い機会だと思って申し込みました。建物があることは知っていましたがそんな古いものだとは知らなかった。意外と中が広かった。きれいにしていたけど、ちょっと寒い感じはしました」 Q今後の活用法は? 「歴史的にも価値があると思うので博物館のように残すのはどうかなと思います」 ●女性(県外) 「団地が好きで、全国の団地を見ています。きょうはこのために静岡にきました。48型は初めてで、しかも中まで見れるのは貴重。きてよかった」 Q今後の活用法は? 「自分ならば、建て替えないでこのままでホテルにしたい。好きな人はいると思うし、ふとんだけあればいいので」 いまなお現役の「羽衣団地」ですが、残念ながら現在は新規の募集を停止しているということです。理由について静岡市は「利活用を検討しているため」としています。