●　「8割くらい達成すればいい」という考え方で 目標設定をしてはいけない 　目標が適正だったのかという検証も欠かせません。 　私は目標というのは達成するもの、達成すべきものだと考えています。 　ただし、低いレベルの目標を設定して達成したという状況はチームに悪影響を与えます。このやり方を続けると、望ましいパフォーマンスは出ませんし、部下たちが真面目に取り組まなくなり、最低限の結果しか出せなくなります。 　逆に目標をかなり高く設定し「8割くらい達成すればいい」という考え方も絶対に駄目です。 　このやり方を続けると、目標は達成できないのが当たり前という思考になってしまいます。 　私が経営者に対してお話する場合も同じです。会社の目標を10と設定して8くらいは達成すればいいというやり方では会社が駄目になる。 　部下を信じていないからそんな達成不可能な目標を立てる。もっと言えば自分の経営能力やリーダーシップも信じていない。そんな会社や部門が成長するはずがありません。

●　目標は「頑張ればギリギリ達成できる」 レベルで組むのが理想的 　目標の立て方で一番いいのは、ストレッチ目標を設定することです。 　ストレッチ目標とは、仕事の仕方を工夫して頑張ればギリギリ達成できる目標のこと。GEが導入して成果を上げたといわれています。ここでは外部環境と内部環境がベストな状態になったときに達成できる目標と理解してください。 　わかりやすい例で説明すると、ビール会社のストレッチ目標は、気温という外部環境が適正で、営業体制と生産体制などの内部環境が完璧な状態で達成できる目標です。 　ビールの売り上げは気温に影響されます。でも気温は外部環境なのでコントロールが利きません。ビール会社は気温が1度平年より動くと売り上げがどれだけ上下するのかということを経験則で学んでいるので、気温が原因の売り上げ目標未達成は評価要因にはなりません。 　内部環境は営業拠点の配置、営業マン数、工場の生産能力というようなこと。例えば営業は目標達成に十分な注文を取ったのに、工場が100％稼働せず供給が追いつかなかったという内部環境が原因なら工場の責任を追及します。

●　適正な目標設定は リーダーの手腕が試される重要な仕事 　後にリーダーは、適切な目標を設定しても部下に目的意識がないと目標達成が難しい、あるいはそれが続かないことも知っておいてください。 　目標を達成することで世の中に貢献できるとか、チームに貢献できるとか、そのような目的意識があれば達成しやすい。もちろん、自身の評価や存在意義が上がるなども大きなインセンティブになります。 　逆に上司の出世のために頑張らされたとか、ノルマに追われて達成したというのではつらくて続かないし、辞める人も出てしまいます。 　適正な目標設定はリーダーの重要な仕事であり、経験と手腕が問われます。