ガンバ逆転Vの可能性を高めた長谷川采配
劇的な勝利とともに、首位レッズとの勝ち点差は「2」に縮まった。残りは2試合。レッズには自力優勝の可能性が残っているが、ガンバは他力本願となる。 「我々がイニシアチブを持っているわけではない。状況は変わらないんじゃないですかね」 試合後の公式会見。逆転優勝への可能性を苦笑いとともにかわした長谷川監督だが、最後はこんな言葉で締めている。 「流れはきっと変わると思います」 指揮官の思いは、以心伝心で選手たちにも共有され、チーム全体を“その気”にさせている。再び今野が力を込めて言う。 「流れですか? ウチに来ているでしょう。どう考えても、誰が見ても、そして対戦相手を見ても」 次節のガンバは前回の対戦で5対1と蹴散らしているヴィッセル神戸をホームに迎え、12月6日の最終節はすでに最下位でのJ2降格が決定している徳島ヴォルティスとの対戦。対するレッズは次節で過去2シーズンともに第33節で大敗を喫している鬼門の地、ベストアメニティースタジアムでサガン鳥栖と対戦する。 この日にヴォルティスに勝利し、4位をキープしたサガンはチーム史上初のACL出場権獲得だけでなく逆転優勝の可能性も残すなど、極めて高いモチベーションで臨んでくる。通算の対戦成績でも2勝3敗と負け越しているレッズにとって、一筋縄ではいかない相手となる。そして、最終戦で対決する名古屋グランパスも低迷した前半戦から一転、後半戦は白星を先行させている。 得失点差でもリードしているガンバは、次節で勝利し、レッズが引き分けても首位に立つ。近づいてくる奇跡の足音に浮かれることなく、チーム全員の思いを代弁するように今野が前を見すえた。 「オレらはやるべきことをやるしかない。とにかく残り2試合で勝ち点6を獲得するしかないですよね。あとはもう、神様に頼ります」 2011年シーズンの柏レイソル以来となる、J2から昇格して即優勝という快挙達成へ。ガンバの合言葉は決まった。 人事を尽くして天命を待つ――。 26日には清水エスパルスとの天皇杯準決勝(味の素スタジアム)に臨むガンバは、史上2チーム目となる三冠獲得の可能性をも貪欲に追い求めながら、レッズ戦から一夜明けた23日から休むことなく始動する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)