ガンバ逆転Vの可能性を高めた長谷川采配
重苦しい試合展開に終始し、両チームともに無得点で迎えたハーフタイム。ガンバ大阪の長谷川健太監督はある確信を抱きながら、後半の試合展開を選手たちに伝えた。 「60分過ぎからアップテンポの試合になるぞ」 5万6758人で埋まった浦和レッズのホーム、埼玉スタジアムで22日午後2時4分にキックオフを迎えたJ1の天王山。首位レッズと2位ガンバとの勝ち点差は「5」。前者が勝てば8シーズンぶり2度目の優勝、後者が勝てば優勝の行方が混沌としてくる。 相手ゴールを陥れたい。先に失点だけはしたくない。両チームの選手が抱く二律背反の思いがピッチ上で交錯し、なかなか決定機が訪れない我慢比べとなった前半の戦いを含めて、すべては長谷川監督の掌の上で転がされていた。 「最近の浦和の試合を見ていると、前半はどちらかと言うと慎重に入り、後半勝負になる展開が多かった。ただ、広島のようにブロックをしっかりと作ってくるチームではなく、中盤のアグレッシブな戦いからカウンターの打ち合いになる試合が多かった。相手が先に2人を代えてきたので、当然、押し込まれる時間帯が続くと思った。それがひと段落したので、逆に最後の20分間はウチが隙を見ながらチャンスを生かせると考えて、攻撃的な選手のカードを切っていきました。最後の最後まで集中力を切らさずに戦ってくれて、次へチャンスをつないでくれた選手たちを誇りに思う」 精彩を欠いていたFW宇佐美貴史に代えてFWリンスを投入した、後半26分の最初の選手交代は指揮官から選手たちへのメッセージでもあった。3分後にはMF大森晃太郎に代えてMF倉田秋を、37分にはFWパトリックに代えてFW佐藤晃大と次々に攻撃的なカードが切られる。 自他ともに認めるエースの宇佐美、後半戦のガンバをけん引してきたパトリックを0対0の均衡が続く中でともにベンチへ下げた意図を、長谷川監督は胸を張ってこう明かす。 「かなり疲れていて、相手にも研究されて本来の力を出せない(宇佐美)貴史であれば、フレッシュなリンスのほうが結果を出してくれるのではと思った。パトリックもナビスコカップの決勝でひざを痛めて、チームに合流してから1週間くらいしか経っていない。それでも、交代で出た選手たちが結果を出してくれた。この点にいまのガンバの強さがある」