「返納しない場合は逮捕する」パスポート返納のカメラマン杉本祐一氏の記者会見、配布資料全文
この度、私、フリーカメラマン杉本祐一のために、 このような場を提供いただき、まことに有難うございます。 【アーカイブ動画】パスポート返納を命じられたカメラマン・杉本祐一氏が記者会見 私は、この20年間、旧ユーゴスラビアや、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、そしてシリアで写真を撮り続けてきました。紛争地で生きる人々、難民キャンプでの生活、自由と民主主義を求め戦っている青年達の姿を、私の地元、新潟県の新聞やテレビなどを中心に、各メディアを通じて日本の人々にお伝えしてきました。その度に大きな反響をいただき、感謝しております。
今回、突然、パスポートの強制返納という事態に直面し、大変驚き、またショックをうけております。パスポートを失うということは、私のフリーカメラマンの仕事を失うということであり、また私の人生そのものが否定されるということだからです。 事の起こりは、今月はじめ地元の新聞に取材を受けたことでした。記者にまたシリアに行くのか、と聞かれ、何度も取材を受けてきた信頼していた媒体だったので、シリアに行くこと、さらには詳しい日程まで、掲載されてしまい、本当に驚きました。私は静かにシリアに行き、また静かに帰国することを望んでおり、全く不本意なことだったのです。 それから、すぐに外務省から電話がかかってきました。確か2月の2日か3日だったと記憶しております。その内容は「新聞記事を読んで杉本さんがシリア行きを計画していることを知った、今回の取材はやめて欲しい」旨のお話でした。しかし、私は、昨年11月、シリア北部のコバニでの攻防戦を取材し、そのコバニがイスラム国から解放され、クルド人部隊による海外記者を案内するプレスツアーも行われているというので、是非取材に行きたいと思い、現地行きのチケットを手配していました。ただ、イスラム国の支配地域に行くつもりはありませんでしたし、そもそもシリアに入るかどうかも、現地の信頼できる仲間と相談して、現地情勢を見定めながら判断しようと思っておりました。刻一刻と情勢が変わる紛争地では、当初の予定通りにことが運ぶとは限りませんから、遠くはなれた新潟ではなく、シリア国境近くで情報を収集し、判断したかったのです。外務省の職員の方とは「中止して欲しい」「行きます」とのやりとりが続きましたが、その電話は15分から20分ほどで終えたと記憶しております。