2度目の弾劾採決目前、「非常戒厳は統治行為」と主張し与党議員を激怒させた韓国・尹錫悦大統領、一か八かの賭けに
尹大統領は戒厳令のもう一つの理由として「不正選挙疑惑」を挙げた。そして、「選管(中央選挙管理委員会)は憲法機関であり、司法府関係者の組織(委員は判事の中から任命する)であるため、調査が容易ではなく、戒厳令で選管のサーバーを調査しようとした」と述べた。 最後に尹大統領は、「12月3日の非常戒厳令は内乱罪に該当しない」と強調した。 むしろ「共に民主党の李在明代表の有罪宣告が近づくと、これを回避して大統領を弾劾し早期大統領選挙を行うため」に自分に内乱罪をかぶせて弾劾を急いでいると主張し、「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と強調した。 ■ 一部の与党議員、「今度は弾劾に賛成」と表明 尹大統領は談話直後、大統領の職務にも復帰、42件の国務会議案件を裁可したという。尹大統領は7日の談話を通じて、「私の任期を含め今後の政局安定方案を党に一任する」として任務を中断する考えを明らかにしたが、再び大統領としての権限を行使するという意志をあらわしたのだ。 尹大統領の談話が保守支持層の「結集」には役立ったかもしれないが、14日に予定される弾劾案の国会通過の可能性を高めたのは確実だ。国民の力の内部では、韓東勲系を中心に激しい非難が出ている。 韓東勲国民の力代表は記者団とのインタービューで、「このような談話が出るとは全く予想できなかった。尹大統領が大統領職を遂行できないという点がさらに明確になったと思う」と述べ、弾劾賛成の意思を強く表した。
当選5回の趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員は、「国民を憤らせる談話だった」とし、「もう大統領とは呼ばない」と述べ、弾劾賛成の意思を明確にした。他にも7人ほどの韓東勲系議員が弾劾賛成の意思を明らかにしている。 ■ 内乱罪なら死刑や無期懲役の可能性も それでは、なぜ尹大統領は、与党議員まで怒らせる談話を発表したのだろうか。 それは「最大、死刑や無期懲役までありうる内乱罪」での捜査に対して積極的な防御をするためのものだ。現在、韓国検察、警察、公捜処は尹大統領を「内乱罪の首魁」と見なし、合同捜査本部を設置してスピード感のある捜査を進行中だ。 さらに、民主党と野党が発議した2つの内乱罪特検(特別検事)法が国会を通過した。40人規模の検事が150日間捜査できる「一般特検法」と、5人の検事が90日間捜査できる「常設特検法」だ。 また、一般特検法の場合は大統領が拒否権を行使できるが、常設特検法は大統領が拒否権を行使できない。現在のキャスティングボートを握っている国民の力の韓東勲系議員らの激揚した雰囲気では、一般特検法が大統領によって拒否されても再表決で通過(在籍議員の3分の2の賛成)する可能性が高い。 結局、尹大統領は自分に着せられた「内乱の首魁」というフレームに対して、独力で防御しなければならなくなっている。