「過激で批判的な掲示板を読むのがやめられません。時間の無駄と思いつつ、つい読んでしまいます…どうしたらいいのでしょう」悩みを専門家が解消
体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアはなにかと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。 【写真】批判的な内容を見続けることが、心に与える影響とは? そこで、臨床心理士の南舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回は、29歳の女性からのお悩みについて。 ▼南舞さん 臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。
時間の無駄だと思うけど、やめられない……
相談者:Hさん 私は寝る前にネット掲示板の過激で批判的なゴシップネタなどをついつい読んでしまいます。 気付くと2時間経っていることもザラ。無駄な時間だとわかっていながらもやめられません……。それに「過激で批判的な内容ばかり読んでいて大丈夫?」とも思ってしまします。どうしたらいいのでしょうか。 臨床心理士:南舞さん Hさん、お悩みありがとうございます。ネットの掲示板やゴシップ記事って、ついつい見たくなってしまいますよね。はじめにお伝えしたいのですが、Hさんが感じている悩みをこうして言葉にして、この状況に向き合おうとしているのはすごいことだと思います。また、その行動を起こしたことだけでも、すでに解決の方向に向かっていると思います。Hさんが少しずつ行動を変えていけるよう、ささやかではありますが、アドバイスさせていただきますね。 お話を進めていく前提として、ネット掲示板やゴシップ記事を見ること自体は悪いことではないと思います。しかし、それが日常生活に影響している、心身の健康にネガティブな影響を与えているようであれば、何かしらの解決策を見つけていく必要がありますよね。まずは、具体的な対処法について触れていく前に、「いけないと思っているのに、なぜやめられないのか?」について、脳のメカニズムをもとにお話ししてみたいと思います。 寝る前にネット掲示板や過激なゴシップ記事をつい読んでしまう理由として、脳の「報酬系」と呼ばれる脳の神経の働きが考えられます。報酬系とは、生存に必要な行動を快感として感じ、その行動を繰り返すことで、生存を図る神経系です。報酬系が絶えず刺激されていると、刺激に対する反応が下がり、さらに刺激を得ようとします。これは報酬欠乏状態と呼ばれ、ネット掲示板やゴシップ記事を繰り返し見るのは、このループにハマっているからだと考えられます。ネット掲示板やゴシップ記事は、常に新しい情報が更新されるため、それが快感となって、止めどきを見失いやすくなってしまうのです。 さらに、寝る前って脳も体も疲れ切っている時間なので、自分をコントロールするのも困難な時間と言えるのかもしれません。なので、「今日はやめよう」と思っても気づくとまた開いてしまっているというのは、ある意味仕方がないことなのかもしれません。