シェアサイクルは「LUUPが覇権を握っている」わけではない…東京とマスコミが発生させた「勘違い」
「シェアサイクル三国志」が幕を開けていた!
最近、都心で姿を見かける機会の増えたシェアサイクル。電動キックボードの「LUUP」が目立つが、これらは安全上の問題なども含め、良くも悪くも注目を集めている。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が地獄を見たワケ シェアサイクルというと、多くの人が思い浮かべるのがこのLUUPではないか。 しかし、それは、業界の”いま”とは異なるイメージ。実は、現在のシェアサイクル界は、LUUP一強では全くなく、むしろ「シェアサイクル三国志」といえる状況になっているという。 ちなみに、後でも触れるが、「LUUP一強」のようなイメージが根付いたのは、LUUPがポート(バイク置き場のこと)を都心中心に展開し、それを、同じく都心にあるマスコミが熱心に報道したことが大きい。 しかも、面白いのは、LUUPは業界において、後発のサービスだということ。 今回は、この「シェアサイクル三国志」について、早くから業界に参入した「HELLO CYCLING」代表取締役である工藤智彰氏に話を聞いた。 まずは、LUUP登場前、つまり、「三国志」が始まる前史を見ていこう。
地方・郊外にポートを増やしたHELLO CYCLING
元々、シェアサイクルは「ドコモバイクシェア(DBS)」が最も早く勢力を広げていた(2015年~)。そこに参入したのが、「HELLO CYCLING(2016年~)」。工藤が、創業の頃を振り返る。 「HELLO CYCLINGがシェアサイクルを開始した時点では、ドコモバイクシェア(DBS)が中心的に事業を行っていました。ただ、全国的に見ると、それぞれの自治体が運営するレンタルサイクルが点在している状況でしたね」 「HELLO CYCLING」は、自治体と民間企業の連携によるシェアサイクルの運営を行い、自治体の予算に頼らないシェアサイクルを始めた。また、一社のみでの展開ではなく、JRや東急バス、トヨタモビリティ東京など、複数社とつながりながら、サービス展開を行っている。これによって、駅から自宅までの、いわゆる「ラストワンマイル」に対応できるポート設置が進むこととなった。それによって、結果的に「HELLO CYCLING」は郊外や地方にも進出していく。 DBSとHELLO CYCLINGのポート数を視覚的に表した図がある。 これを見ても、HELLO CYCLINGがいかに地方・郊外にその勢力を広げているのかがわかるだろう。