「営業先でキャリケースをゴロゴロ転がす」は三流、一流が心掛けている「ルール」と「マナー」の決定的違い
気の利いた行動はどうすればできるか。らしさラボ代表の伊庭正康さんは「基本的なマナーを守ることは、営業として『失点』をしないための条件だ。例えば出張で営業に行く際は、先方のオフィスに入ったタイミングでキャリーケースをゴロゴロと転がすのはやめて、持ち上げて運んだほうがいい。私もお客様からは何度か『ぜひ、転がしてください。でも、やはりプロですね』と言われたことがある。これこそが、マナーの本には載っていないプロ営業の“見せ方”だ」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。 ■観察力を高める3つの観点「SBI」で気の利いた会話を 気くばりが苦手、という人は多いもの。 わかります。実は、私もそうでした。 自然と気くばりができる人を見ると、スゴイな……と羨ましく思ったものです。 でも、あきらめることはありません。 気くばりはスキル。 つまり、鍛えることは十分にできます。 最初にやることは「目配り」です。 例えば、営業先でお客様をお待ちしている間、あなたはどこを見ていますか? もちろん、スマホを見ているようではいけません。 話のネタを探すように、次の3つの観点でまわりの観察をしてみてください。 「S:Situation(状況)」 「B:Behavior(行動)」 「I:Impact(影響)」 この観点は、SBI情報とも言われる、観察力を高める3つの観点です。 元々はリーダーがメンバーに対する観察力を高めるためのメソッドなのですが、私は営業こそこのSBIの観点でお客様を観察する必要があると考えています。
■「状況」「行動」から「だから社風がいいのだろうな」と想像する 例えば、商談場所が、先方の事務所としましょう。 「いつもより忙しそうだな……」と思うことはありませんか。 でも、これだけでは不十分。「状況」の観点しか見ていません。 「行動」の観点で観察をしてみてください。すると、 「部下と上司がフランクに会話しているな……」 と気付けるかもしれません。 さらに「影響」の観点でも観察します。想像といってもいいでしょう。 「だから、社風がいいのだろうな……」など、想像します。 いかがでしょう。 会話の内容が変わってくるように思いませんか。 ---------- お客様「お待たせしました」 営業「とんでもございません。お忙しい時に、ありがとうございます。皆様、とてもフランクに会話されているのですね」 お客様「え、そうですか?」 営業「だから、雰囲気がいつも素敵なのでしょうね」 ---------- 気の利いた会話になりました。 まずは、SBI情報で観察をし、話のネタ(褒めどころ)を探してみてください。 ■先を読んで、どんな行動を取るか考える 気くばり力を高める、もう1つのコツを紹介しますね。 「三手先を想像する」、です。 例えば、商談の際にお茶を出してもらうことはないですか。 その時も、三手先で考えます。 「この後、誰が片づけるのかな? 目の前の担当者なのだろうな……」(一手先) 「片づける際、テーブルのしずくも拭かれるのだろうな……」(二手先) 「その後、きっとお湯呑みをパントリーに運ばれるのだろうな……」(三手先) そして、次が肝心。 どんな行動をとると「気の利いた人」になれるのかを考えます。 私の場合は、こう考えるようになりました。 さりげなくテーブルのしずくを拭き、お湯呑みを運びやすいよう、テーブルの隅(出口に近い場所)に移動させておくべきだ、と。 お客様は「そのままで結構ですよ」とはおっしゃいますが、高評価につながる気の利いた行動であることは間違いないでしょう。 いかがですか。 「気くばり」は、いくらでも鍛えられます。 ぜひ、「SBIの切り口で観察し、三手先を読む」、を心掛けてみてください。 確実にあなたの気くばりは、あなたの「強み」になることでしょう。