脱北女性が語る過酷体験 きっかけは「韓国ドラマ」 川を泳いで渡り…中国で一時拘束
ウクライナを侵攻するロシアに兵士を派遣し、国際社会からの反発が強まる北朝鮮。北朝鮮住の人々は今、何を思いどのような暮らしをしているのか? 2015年に脱北したムン・ヨンヒさんに話を聞く。 【画像】脱北を決意した祖母からの言葉とは?
■韓国文化を流布したら「死刑」「公開処刑」も
ムンさんは現在33歳で、1991年4月に北朝鮮の比較的裕福な家庭に生まれ、その後、首都平壌のエリート大学に進学し経理やサービス業について学んだ。 脱北を決意したきっかけは、祖母からかけられた「この国はダメ。広い世界へ行って。思い通りにいかないよ、この国は」という言葉で、24歳の時に1人で脱北したという。 祖母の言葉の他に、韓国ドラマも脱北のきっかけの一つだという。韓国統一省が2月に公表した「脱北者に関する報告書」によると、2016年~2020年の間に脱北した人のうち、「韓国ドラマなど国外の映像を見た経験がある」と回答した脱北者は83.3%に上ったという。こうした現状について、韓国の脱北者団体は「体制批判ビラの散布などが影響した」と主張していると「連合ニュース」が報じている。 ヨンヒさんも、18歳の頃から韓国ドラマを度々見てきたが、韓国ドラマを見て「こんなに車が多いわけがない」「韓国ドラマの世界観は嘘だ」と思ったという。だが、大人になってから「北朝鮮がおかしいかも」と考えるようになったという。 ただ、北朝鮮には韓国文化の視聴などに対して厳しい罰則があるという。北朝鮮は、これまでも韓国文化について厳しい統制を行っていたが、韓国メディア「ニューシス」によると、2020年12月に韓国文化の視聴や流布を禁じる「反動思想文化排撃法」が制定された。韓国ドラマなどを視聴した場合、最大懲役15年が科される恐れがあり、韓国文化を流布したとされた場合は死刑になるといい、実際に公開処刑された例もあるという。 また、これだけでなく「反動思想行為」として、サングラスをかけたり、結婚式で新婦が白色のドレスを着たりといったことを一般の住民が行うことも禁止している。