掛布氏 実績あるベテランの再生がカギ 「福留を再生させたい」
(文・掛布雅之) 球団幹部からGM付き育成&打撃コーディネイターの就任要請を受けたとき「若手だけでなく1軍の選手に関しても調子を落として2軍に落ちてくる選手がいる。そういう選手の再生にも手を貸して欲しい」と言われた。それは、簡単な仕事ではないが、チームのためになるならば尽力は惜しまない。
■昨季、不振に終わった福留孝介 気になるベテラン選手がいる。昨季は、故障もあって不振に終わった福留孝介である。同じ右投げ左打ちのスラッガー。故障を抱えた彼が2月は、沖縄か高知か、どこからスタートするのかは知らないが、会えるチャンスがあれば、じっくりと話を聞いてみたいと思っている。いったい何が原因で不振に陥り、今季はどうしようと考えているのか。また体のどこをどういう風に痛めていて、それがどういう影響を与えたのか。また、その故障の回復具合と見通しはどうなのか。 おそらく彼ほどの実績のあるプレーヤーならば、それらの自己分析は終わっているだろう。そして、今季の再生に向けてのプランも立てていると思う。私のできる仕事は、彼とのコミュニケーションをしっかりとって、そのプランの進行を第三者的に見てあげて、感じたものを助言することだろう。 ■”良さ”だった広角打法の角度がなくなっている 評論家として昨季の福留を見ていて、問題だと思っていた点は、スイングするときに、かかと重心になってしまい、バットが外を回り、その影響からかインコースが打てず、本来、彼の特徴でもあった左方向への打球が極端に減ってしまったことだ。おそらくメジャーの重いボールを打ち返すために、「強く打とう」という意識が強すぎたのだろう。かかと重心になると同時にバットのヘッドが体から離れて回るようなスイングになってしまっている。そうなると、ボールが芯にジャストミートしたときには、打球を遠くへ飛ばすことができるが、率は確実に下がる。彼の良さであった広角打法の角度がなくなってしまう結果となった。