市川團十郎を本気にさせた人物とは?「17歳の時、『え、こんなカッコいいヤツ世の中にいるの?』と思ったんです」【日曜日の初耳学】
歌舞伎俳優の十三代目市川團十郎白猿が『日曜日の初耳学』に登場。林修を聞き役に、『市川團十郎』の名前の重みを守る覚悟や家族への思いを語った。 そんな團十郎の普段の様子をよく知る人物として長女・市川ぼたんと長男・市川新之助もそろってVTR出演し、可愛らしいトークを繰り広げた。
「これが歌舞伎であるならば、自分の人生を懸けてもいい」
市川團十郎家は、長い歴史を持つ歌舞伎界でも最も権威ある家柄の一つ。その名の重みを尋ねられ「大変ですよね、どうしてなっちゃったんでしょうね」と飄々と答える一方で、伝統の継承と変革のバランスについて「“伝統もやるし、新しいこともちゃんとやる”というのが、伝統を守ることになる。“右肩上がりで水平線”、そういう認識でいたいです」と語る言葉には、歌舞伎界を引っ張る強い責任感がにじむ。 5歳で初お目見得の舞台に上がり、7歳で市川新之助を襲名。師匠でもある父・十二代目市川團十郎のもと、幼い頃から稽古に励んできた。10歳時には連獅子の稽古を毎日2時間続け、椎間板ヘルニアになったことも…。「17歳前くらいまでは(歌舞伎を)やめようかなと思っていました。大変なんで」と、稽古に明け暮れた思春期を振り返った。 一度は離れかけた心を歌舞伎に引き戻したのは、祖父である十一代目市川團十郎の存在だったという。「祖父が亡くなって30年の年に私が17歳で、その時に祖父の映像を初めて見たんです。それを見た時に、『え、こんなカッコいいヤツ世の中にいるの?』『これが歌舞伎であるならば、自分の人生を懸けてもいい』と思ったんです。こんなカッコいい人がいるんだ、それも自分のじいちゃんなのかと」。偉大な名跡を受け継ぐ覚悟は、この時に固まった。
麻央さんに叶えてあげたかった夢「よかった、見ていてくれた」
プライベートの團十郎を知る人物としてVTRで登場したのは、市川ぼたん(13)と市川新之助(11)。素顔の父について、新之助が「迫力は…ないですね。包み込んでくれる感じが強いです」と語れば、ぼたんも「ゲームしていると一番悔しがるのは父です。“パパ=かわいい”っていう印象が強いんです」と打ち明ける。その様子からは、わが子を愛情いっぱいに育てる父の顔が浮かび上がってくる。 2人にとって、今も父と同じくらい大きな存在なのが、母・麻央さんだ。ぼたんは「将来『これになりたい』っていうのがなかった時、(麻央さんがブログに記した)『なりたい自分になる、人生をより彩り豊かなものにするために。だって、人生は一度きりだから』を見て、新しい一歩を踏み出せた。その言葉に背中を押された」という。2025年1月の初春大歌舞伎「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵」では、團十郎が4役を演じ分けるほか、ぼたんも出演する。 そんな麻央さんについて、團十郎自身が思いを語る場面も…。およそ9年前、新之助が2歳8か月で初めて舞台に上がったとき、その様子を客席で見守った麻央さん。團十郎はインタビューの席で当時の映像をあらためて目にし、「麻央が初お目見得を見ている舞台。それが一つの僕の夢だったんですよね」と振り返った。 そして「自分の息子や娘が歌舞伎の舞台に立つ姿を初めて見るとき、母親はすごく幸せなんだろうなっていうのを、自分の母やほかの方を見ていても思っていたんです。麻央にも絶対これを体験してもらいたいと思っていたんです。今見たら、映像として残っていたんですね。よかった、見ていてくれたんだな」と、深い愛情をにじませた。