“黄金世代”元Jリーガーがトレーナー転身…教え子はパリ五輪金メダリスト 夢は「サッカー界に復帰して指導者」【インタビュー】
トレーナー育成後はサッカー界復帰も視野「今45歳。あと2年くらい打ち込んだら…」
17年をもってJ2群馬を離れ、所属クラブがなくなったタイミングで、なぜS級ライセンスを取得しようとしたのか。「自分はこんなサッカーをやりたい、プロ監督になったらこんなチームを作りたい、こんな戦い方をしたい、という具体的なものを確立できたのが理由です」。首尾良く日本協会から、18年度のS級コーチライセンスが認定された。 現在フィットネスのリーダーのほかにもたくさんの業務を抱え、多忙な毎日を送る。そんななかで達成したいことの優先順位が、後進を指導し育成することだという。「僕の下で頑張っているトレーナーが将来、元木のような一流アスリートから依頼されるようになってほしい。そんなスタッフを大勢育てることが、今の一番の目標」と目を輝かせた。 J1とJ2、県リーグや地域リーグなど、さまざまなカテゴリーに所属し世界大会も戦い、コーチ兼任や監督代行としてもプレーしてきた。大学では講義を持ち、サラリーマン生活も送った。氏家はこの四半世紀で艱難辛苦を味わい、人としてさらに大きくなった。 今後の歩む道、夢を尋ねてみたら予想どおりの答えが返ってきた。 「スタッフが成長できる仕組みをしっかり作り上げ、人材的にも経営的にも安定させたい。それと並行して地域貢献も忘れずにフィットネス文化を根付かせたいですね。今45歳。あと2年くらいこの仕事に打ち込んだら、サッカー界に復帰して指導者になる夢を抱いています」 99年のワールドユース選手権準優勝メンバーのうち、Jリーグで指揮を執った仲間はまだいない。氏家が第一号になれるか――。(文中敬称略。チーム名は当時の名称)
[プロフィール] 氏家英行(うじいえ・ひでゆき)/1979年2月23日生まれ、東京都出身。横浜Fユース→横浜F→大宮→草津→図南SC群馬。J1通算9試合1得点、J2通算189試合0得点。1999年にワールドユース選手権(現U-20ワールドカップ)準優勝を経験。2014年に引退後、群馬のヘッドコーチ、GM補佐を歴任。2018年度のS級コーチライセンスを取得。21年からトレーナーとしても活動し、パリ五輪レスリング女子62キロ級で金メダルを獲得した元木咲良にも指導。東京都シニアリーグの強豪レアル東京40でもプレーしている。 [著者プロフィール] 河野正(かわの・ただし)/1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。
河野 正 / Tadashi Kawano