「金丸夢斗を引き当てただけで満点」中日OB・小笠原道大がキッパリ評価のウラで「ジャイアンツは本当は投手に…」ドラフト全12球団の“思惑”
中村優斗“一本釣り”は「ヤクルトの戦略が見事」
――ヤクルトは中村優斗投手(愛知工業大)の一本釣りに成功しました。侍ジャパンにも選出された最速160km右腕です。 小笠原 これはヤクルトの戦略が見事でした。やっぱり1年目から先発でいきたいんじゃないかな。ただ正直、後ろもいないのでね……。今季は7、8、9回で落とす試合も多かった。いずれにしても、ヤクルトにとって最高のピッチャーを取ったと思いますよ。 ――2位のモイセエフ・ニキータ選手(豊川高)はどうでしょうか。高校生の外野手が支配下で指名されたのは12球団を通して同選手だけでした。 小笠原 ヤクルトはスケールの大きい高卒野手を育てるのが非常にうまい。それも踏まえて、面白い逸材を取ったなと思います。村上(宗隆)がメジャーにいって、山田(哲人)も年齢を重ねてきて……。3年後から5年後くらいの近未来には中軸を担ってもらいたい、というイメージでしょうね。 ――4位の田中陽翔選手(健大高崎高)も含めて将来性のある高校生を指名しつつ、社会人屈指のクローザーとされる3位の荘司宏太投手(セガサミー)も補強しました。奪三振率の高い150km左腕です。 小笠原 荘司投手はまさに足りなかったピース。すぐにチームの力になるでしょう。総じてバランスのいい指名だったと言えると思います。
古巣・中日は「金丸投手を引き当てただけでも満点に近い」
――そして4球団競合の末、金丸夢斗投手(関西大)の交渉権を獲得した中日です。井上一樹監督の派手なガッツポーズも出ました。 小笠原 もう大成功ですよね。昔からよくスカウト陣なんかは「本当にほしい1位を獲得できたらドラフトはほぼ成功」と言うんですけど、金丸投手だけじゃなく、かなり面白い選手を指名しているのかな、と。 ――2位の吉田聖弥投手(西濃運輸)も即戦力級のサウスポーと高い評価を受けています。 小笠原 少ないですからね、左投手が。ここで2枚取れたのは大きいですよ。 ――金丸投手にはどれくらいの活躍を期待しますか? 小笠原 「即戦力じゃないと困る」くらいに中日フロントは思っているはず。アクシデントなく力通りに投げられたら、1年目から二桁勝利、防御率2点台。普通にやればそれくらいはいきそうな気がします。 ――3位で将来の大砲候補である森駿太選手(桐光学園高)、4位で石伊雄太選手(日本生命)というアマ屈指のキャッチャーを指名。5位、6位でも高卒の将来性豊かな投手を選んでいます。 小笠原 いまの中日には木下拓哉、宇佐美真吾、加藤匠馬、石橋康太といるんですけど、将来的に若い石橋に託していくにしても、ちょっとスパイスを加えたいポジション。石伊選手の存在はいい刺激になるでしょうね。社会人での経験、一発勝負の重みを知っていることもプラスになると思います。高卒の選手を取るようになったこともいいですね。目の前を見つつ、先々のことも見ている。いや、本当に楽しみですよ。 ――小笠原さんから見て、今年のドラフトでもっとも成功したセ・リーグの球団はどこでしょうか? 小笠原 DeNA、ヤクルトも適材適所で非常にいい補強をしているんですけど……。でもやっぱり中日かな。金丸投手を引き当てただけでも満点に近いですし、2位以下の指名も素晴らしかった。この選手たちを首脳陣がどう動かして、育てていくのか。すごく面白いし、見ものだと感じています。 <パ・リーグ編に続く>
(「プロ野球PRESS」曹宇鉉 = 文)
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