49歳長女が絶句…小さい頃から「長男びいき」だった父が書いた遺言書の「衝撃の中身」
父が残した遺言書を見て心底がっかり……
それから程なくして、もともと身体が丈夫ではなかった幸子さんは、里香さんが税理士として働きだして間もない24歳のときに突然亡くなってしまったのです。 里香さんは、母が亡くなったことに大きなショックを受け、しばらくは何も手につかない状態でした。大学進学や税理士資格の取得を自分のことのように喜んでくれた天国の母へ仕事を頑張る姿を見せたいと気持ちを切り替え、仕事にまい進しました。 母の死から四半世紀が過ぎ、父・拓郎さんも高齢となり、半年前に帰らぬ人となりました。 拓郎さんは遺言書を残していました。 主な財産は自宅とその敷地、拓郎さんが経営していた会社の株式、そして会社への貸付金でした。拓郎さんの会社は資金繰りが厳しく、自分の預貯金を会社の運転資金に回していたため、拓郎さんにはほぼ預貯金がありませんでした。 拓郎さんの遺言書は、 ・会社の株式や会社への貸付金は、会社の役員である貴之さんに全て相続させる ・自宅は、貴之さんの持ち分が9/10、里香さんの持ち分が1/10として、共有で相続することとし、売却して分けてほしい という内容でした。 すでに里香さんは独立して実家を出ていたため、拓郎さんは後継ぎである大切な長男に財産をたくさん残したかったのです。 里香さんは遺言書の存在を知ってから、自分にはあまり財産が相続されない内容であろうと予想していましたが、まさか遺留分にも満たない相続額とまでは思っていなかったため、遺言書の内容に心底がっかりしました。 遺言書があった場合でも、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議によって遺言書と異なる内容で相続することは可能です。しかしながら、兄・貴之さんは「親父の遺言書どおりでいいよな」と言っており、合意を得るのは難しそうです。 「私立の学校の教育費だけでなく、社会人になってからも親のお金で生活していたくせに……」 兄が少しでも家計のことを気にしていれば、母は無理をせずに済んだかもしれないだけに、最後まで親に甘えて何も考えていない兄が腹立たしくてなりませんでした。 * * * 拓郎さんが残した遺言書の内容で、注意すべきは、「貴之さん・里香さんが共有名義で自宅を相続する」点。なぜなら不動産を共有名義で相続すると、トラブルを生む可能性があるからだ。 里香さんはこの点に着目し、兄へある復讐を果たそうとするーー。くわしくは〈49歳長女が激怒した…父が残した「長男びいき」の遺言書を逆手に取った「復讐の全容」〉で見ていこう。 【著者プロフィール】 高山弥生 1976年生まれ、埼玉県出身 一般企業に就職後、税理士事務所に転職。「顧客にとって税目はない」をモットーに、専門用語をなるべく使わない、わかりやすい本音トークが好評。税理士事務所の入所当初、知識不足で苦しんだ自らの経験をもとに、「高山先生の若手スタッフシリーズ」などを出版している。『税理士事務所スタッフは見た! ある資産家の相続』『消費税&インボイスがざっくりわかる本』などがある。 ■ベンチャーサポート相続税理士法人:https://vs-group.jp/sozokuzei/ ■相続専門税理士チャンネル(YouTube):https://www.youtube.com/@souzoku
高山 弥生(税理士・ベンチャーサポート相続税理士法人)