鳥取「シープシープ・ブックス」が開店から半年 落語・短歌のイベントも
「SHEEPSHEEP BOOKS(シープシープ・ブックス)」(鳥取市元町)がオープンして、11月18日で半年がたった。(鳥取経済新聞) 【写真】「SHEEPSHEEP BOOKS」店内 同店は1980(昭和55)年から2023年まで約40年間営業した書店「定有堂(ていゆうどう)」と同じビルの2階に5月18日にオープン。「定有堂」は人文書を中心に扱う個人書店として知られ、閉店まで地元の本好きに親しまれる存在だった。 店主の高木善祥さんは「中学生の頃、鳥取駅から鳥取県庁へ続く道沿いに8軒ほど本屋があったが、その中でも定有堂はマニアックな本がそろう面白い本屋だった。常連客も多かったが、惜しまれながら閉店した」と振り返る。 高木さん自身、中学生の頃から定有堂に通い、店主とも客として関わりがあったという。27年間勤務した総合書店を退職した際、定有堂の店主から、使用用途の決まっていなかった2階スペースを提案されたことがきっかけとなり、書店を開くことを決意。「中学生の頃から集めてきた本があったので、本屋をやりたいけれどどうしようかなと思っていた。具体的に何をするか迷っていたので、声をかけてもらい開店することができた」と話す。 店内では、定有堂で使っていた本棚やカウンターをそのまま受け継ぎ、同店が多く取り扱っていた人文書を中心に、高木さんの趣味である音楽や短歌関連の本、地元に関する書籍も並べる。古書と新書合わせて約2000冊を取り扱い、そのうち約1500冊は高木さんの蔵書。韓国インディーズ音楽が流れる店内では選書の相談にも応じる。「選書には自分なりのこだわりはあるが、読者ニーズにも応えていきたい。地元を応援したい気持ちで郷土関連の本も充実させていきたい」と話す。 半年を振り返り、高木さんは「定有堂のあったビルに書店ができたことを、常連のお客さまに喜んでもらえている。最近、近所の人が処分しようとしていた本を欲しい人に引き渡せたこともあった。今後も捨てられてしまうかもしれない貴重な本を救える存在になっていければ」と意気込む。 同店では12月1日・2日にイベント「鳥取で落語・短歌の会」を開催予定。主催は鳥取市出身の歌人・舞台制作者の吉田恭大さんで、同店のオープンを知り高木さんに相談したことから実現した。イベントでは、初心者にも分かりやすい短歌のワークショップと、はなし家・笑福亭智丸さんがプロデュースする落語会を、本棚を動かして設ける店内スペースで行う。 吉田さんは「短歌に関するイベントでは短歌を持ち寄って集まる『歌会』が一般的だが、今回は初心者が参加しやすいワークショップを行うので、少しでも短歌に興味のある人が短歌に触れるきっかけになれば」と話す。 高木さんは「本は一人で読むものだと思っていたが、開店してから2回イベントを開催し、そこから広がる出会いの面白さを感じた。短歌に関連した本も意識して取り扱っているので、短歌の好きなお客さまにも楽しんでいただければ」と呼びかける。 営業時間は12時~19時(土曜・日曜・祝日は10時~)。水曜・第2火曜定休。「鳥取で落語・短歌の会」は12月1日16時~18時に短歌会、19時~21時に落語会、2日12時~14時に落語会を、それぞれ行う。各回2,000円。学生・70歳以上半額、中学生以下無料。
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