名古屋市長選の争点『名古屋城の木造復元』、入場禁止から7年経過も問題相次ぎ計画進まず...専門家「名古屋城は日本で唯一、“忠実に再現”できる城」
ほかにも、修理の記録なども残っているという名古屋城。さまざまな資料を組み合わせることで復元が可能だといわれています。
実は日本で唯一、“建設当時を忠実に再現できる城”といわれている名古屋城。それは、城の外側まで測量して作られた「昭和実測図」の“精密さ”にあります。
こちらは平面図を拡大したもの。かなり細かく寸法が書き込まれており、このような実測図が約300枚残るだけでなく、ほかにも700枚以上の写真が保存されているのです。
その希少性について『名古屋市立大学』の瀬口哲夫名誉教授は、「ここまで豊富な資料が残っている城は、日本唯一といっていい」と評価。続けて、「正確な復元ができる可能性が非常に高い」と話します。
「木造復元」は名古屋市長選の争点
総事業費505億円のビックプロジェクトといわれる、名古屋城天守の「木造復元」。河村前市長が打ち出してから、すでに12年経ちますが思うように進んでいません。なぜ、これほど計画が停滞しているのでしょうか。
一つ目の理由は、バリアフリー問題。徳川家康が建てた姿の完全復元を目指したいのが、河村前市長の計画。車椅子の人も最上階に上がれるようにとエレベーターの設置を求める意見が挙がりましたが、市民討論会の場で一部の参加者から、「わがまま」「我慢せえ」などと差別発言があったという問題で計画がストップしています。 二つ目の理由が、石垣の保全。石垣は焼失前から残っており、江戸時代の姿を残すとても貴重なもの。文化庁に保存計画を出してから工事を進めていくことに加え、天守を解体してから、石垣内部の再調査が必要となるといいます。
今後、名古屋城はどうなるのでしょうか?名古屋市長選では、この課題への対応も争点となっています。 木造復元に「賛成」の意を表しているのが、前副市長・広沢一郎氏と前参院議員・大塚耕平氏。広沢氏は「文化財としての価値を損なわない範囲で、最大限バリアフリーしていきたい」、大塚氏は「市民に不正確な情報を与えていると批判した上で、工事がストップしている経緯などの説明が必要」と主張しています。