「たすけください」ファミリーマートが食品ロス削減へ新手法 感情や情緒に訴えるデザインの実証実験を開始
食品ロス削減のための値下げシーンに「たすけてください」のメッセージと涙目の表情を浮かべるおむすびのキャラクターをデザイン――。 ファミリーマートが、食品ロス削減を力強く推進すべく、来店客の感情や情緒に訴える手法を新たに編み出し、10月30日、東京都と神奈川県の6店舗で実証実験を開始した。 これは「ファミマのエコ割」(エコ割)の仕組みに基づいた試みでエコ割を前進させる可能性がある。 エコ割は、消費期限のせまったおむすびや弁当などの中食商品に、バーコード付き値下げシールを貼り値下げ販促するもの。2021年7月に導入開始され、現在、全国の9割以上の店舗で活用されている。
「現在、エコ割が食品ロス削減に非常に有効に作用している」と胸を張るのは、30日、ファミリーマート晴海センタービル店(東京都中央区)で取材に応じた岩崎浩執行役員サステナビリティ推進部長。 ファミリーマートでは、商品面と販売面で食品ロス削減に取り組んでいる。 商品面では製造方法・包装の見直し・冷凍食品の拡大などでロングライフ化を図り、販売面ではエコ割の効果最大化や廃棄を極力抑止する精度の高い発注を追求しているが「どうしても食品ロスが出てしまう」という。 今回、食品ロスを徹底的に削減すべく発案されたのが、感情や情緒に訴えるやり方。 生活者のSDGsやサステナビリティへの意識の高まりを追い風と捉える。 「どうせ買うなら環境によいもの、あるいは、食品ロス削減に役立つものを買って役立ちたいという意識が年々高まっている。特に若い世代にはそのように思われる方が多いことが調査結果からも分かっている」と語る。
このような潜在意識を「たすけてください」のメッセージや涙目を浮かべたおにぎりのイラストで刺激して行動変容につなげていく。 「“そういうことをやめましょう”といった強い感じの主張だと、生活者の中には拒絶反応を示され長続きしない恐れがある。価値観が多様化している中で、少し遊び心も加えて柔軟なやり方を採用したほうがいいと考えた」と説明する。 実証実験の期間は11月26日まで。合計6店舗を対象に2店舗ずつ3つのグループに分けて、値下げ商品の販売や食品ロスの削減状況を比較検討する。 「仮に、表情やメッセージ入りの値下げシールが、従来の値下げシールに比べ、5%値下げ商品の購入率が上がると、1店舗当たり年間200キロ以上の食品ロス削減につながる」と期待を寄せる。 値引きシールは10円~150円までの7種類ある。本部では販売期限が切れる4時間前のシール貼りと約2割の値引き率を推奨している。